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2009年2月11日 (水)

1月19日の近況報告

1月14日からの都響の演奏旅行、前半の長野、名古屋公演のソリストはゲルハルト・オピッツさんでベートーヴェンの皇帝。
オーケストラの仕事をしていると、皇帝はしばしば演奏する。でもこれまで、ソリストが曲に位負けするか、攻撃的になりすぎるか、いつもなかなかしっくりこなかった。オピッツさんは開演してステージに現われても、変わらず自然体で、堂々とした素晴らしい演奏だった。彼の音の芯はいつも響きにくるまれていて、聴いているととても幸せになる。フレーズが新しく始まる時は微笑んだりして、素敵だった。こんなに大きな協奏曲を気負うことなく、常に理想的な条件で緻密に弾ける人がいるなんて驚きだった。

名古屋で終演した後、楽屋口に降りるエレベーターでたまたま一緒になったら、突然「せんろっぴゃくごじゅっきろまで」と最大積載重量の表示を流暢な日本語で読み上げて、また驚いた。日本語までとてもお上手である。

演奏旅行、後半大阪、札幌のソリストはウト・ウギ氏は体調不良のため、来日が遅れて心配したけれど、なんと絶好調だった。
かなり高めの音程で弾くので、チャイコフスキーの協奏曲は鬱蒼とした暗さにはなりにくいが、よく歌う、イタリアのテノールのようだった。第2楽章のテーマは特に素晴らしく、心をつかまれた。会場の空気が変わった、と思った。決して若くないのに、チャイコフスキーの後でアンコールにパガニーニをばりばり弾くあたり、この人はきっと骨の髄までヴィルトゥオーソの演奏家なのだ。

4公演とも素晴らしいソリストでとても幸せだった。音楽ってこうなんだなぁ。

長野は雪、久しぶりに長野から名古屋まで特急「しなの」に乗ったら、改めて景色の美しい路線だと思った。北海道も雪。時間が少しあったので、小樽まで出かけた。寒かったが、夜の光景には一段と心惹かれた。
移動中に読んでいたのが村上春樹著「意味がなければスイングはない」。どこを読んでもおもしろかったが、スタン・ゲッツについて書いた文章の中にこんな彼の言葉がある。
『精神的にも、身体的にも、力が入った状態では、ろくなものは生み出せない。集中力が役に立つのは会計士のような仕事について言えることだ。我々にはもっとリラックスした心的状態が必要なんだ』

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