3月の芦ノ湖
熱が写真に移ってからも年に1回、少なくとも2年に1回は芦ノ湖に釣りに行っていた。
でも3月の芦ノ湖は本当に久しぶりだ。前は湖面を吹きわたる強風で竿と糸がきらきらと凍り付いても意識がぼんやりとしても、雪がボートに降りつもっても、ものともせず通っていた。そういう熱を失っていた訳だ。
今朝芦ノ湖に到着したら、思いの外暖かくて拍子抜けした。
ボート屋の平田さんにポイントとルアーの傾向を聞き、広い湖面をのたのたボートをこいで早川水門まで行く。最近の僕の釣りのモットーは「釣れても釣れなくてもいい」というものなので、あまりがんばらずルアーを投げちゃ巻き投げちゃ巻きする。
ぼんやりしてきた頃、最初のぐん!というニジマスのアタリがあって目が覚めた。何度釣りに行っても、その日最初のアタリは無が有になる最高の瞬間だ。この何年かの芦ノ湖はボウズ(一匹も釣れないこと)もあったし、釣れたとしてもまるで釣った感じのしないことばかりだったので、今日はものすごくたくさん釣れた訳ではないけど、僕としてはとても楽しい釣りになった。ちなみにヒットルアーは5グラムの金黒のスプーンで、それを沈めて使った。
日が陰って風が強くなるとつま先の冷たさが全身にしみ渡り、アタリも遠のいたので竿を納めた。
山積みの日常を離れて、それでも日常は箱根まで追っかけてくるけど、遠くの釣り糸を見ている日があってもいい。