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2009年4月 6日 (月)

時間のデフォルメ

2週間半、3つのプログラムが続いたインバルのシリーズも今日の新潟公演で一区切り。
特にチャイコフスキーとベートーヴェンのリハーサルで感じたのは、彼が時間的に音楽を大きくデフォルメすることだ。フレーズの中で伸び縮みさせるのはもちろんのこと、フレーズの変わり目で多く時間をとったり、モチーフによってテンポを変えたり、同じモチーフでも毎小節テンポを変えたり、そこまでやるか、と思うこともあったけど、客席で聴いているともしかしてちょうどいいくらいなのかもしれない。輪郭をよりはっきり、させすぎかもしれないが、させる。方向性を明確にし、音楽が滞ることもとても避けたがっていた。いちいちのことが本当にそのとおりだった。

僕がバッハの無伴奏を弾いて録音を聴き返すと、のっぺりした恐ろしく単調な何かでしかなかった理由がよくわかる。バッハが弾きたい。今弾いたらどんなだろう。

インバルはとてもマイペースな人だと思う。例えば、「英雄」の本番の数日前に突然木管楽器を倍管(8人のオーボエ、ファゴット、クラリネット、フルートを16人にすること。確かにベートーヴェンを第一ヴァイオリン16人の編成で演奏すると、木管楽器の負担はかなり大きい。)にしたり、ベートーヴェンの強弱記号を演奏しやすいように変えたり(いつもそこで悩んだり工夫したりするのだけれど)する。指揮者はそれでいいのかもしれないし、そうあるべきなのかもしれない。オーケストラプレーヤーとは同じ舞台にいながら全く異質の職種ということになる。

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