グルダと
宗次ホールで弾く前日の夜フルニエやハイフェッツの演奏を聴いて、この人たちは本当にすごいんだなと思った。これまでもよく聴いてきた演奏なのに、今まで何を聴いていたんだろう。
ずいぶん頑張ってよくなってきたつもりだけれど、自分の演奏に正面から向き合うといろいろなことの拙さを思い知らされる。ボウイングやフィンガリングのごくごく基本的なことにも気付いていないことがいっぱいあった。
だから今、チェロを弾くことはまったく新しいことのようで楽しいし、これまで聴いてきた録音を聴きなおすのもとても新鮮だ。
フルニエのベートーヴェンのソナタは僕の知る限り3種類の録音があり、それぞれのピアニストはシュナーベル、フリードリッヒ・グルダ、ケンプ。特にケンプと弾いている4番、5番のソナタは何度も何度も聴いた大好きな盤だ。でも、先日何気なく聴いたグルダとの録音もとても素晴らしいことに気付いた。グルダ、というと奔放でとんがった印象を持っていたけれど、この演奏はとても端正でうっとりするくらい美しい。さらう前に聴き始めると、ついつい手が止まってしまう。
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