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2009年9月

2009年9月30日 (水)

新型インフルエンザ

9月29日に放映された「プロフェッショナル」では新型インフルエンザ対策に奔走するWHOの医師、進藤奈邦子さんが取り上げられていた。なんだかすごかった。背負っているものが大きい。それに、こんなに明確な言葉を話せる人は少ないのではないだろうか。
番組の最後に、新型インフルエンザは生物学的には安定していていずれ季節性のインフルエンザになるのではないか、という観測があって少しほっとした。でも重症化するととても危険だ。

医療に従事している人たちの仕事ぶりを見ると本当に大変なことをしていると思う。
舞台の上では時としてちびりそうだし、もうだめ死にそうと思うこともあるが、醜態をさらし恥をかくくらいで別に死にはしないのだ。

2009年9月28日 (月)

あと3日、何をしなくてはならないか

昨日9月26日、小さな会場で10月1、4日と同じプログラムを弾かせていただいた。
今日その時の録音を念入りに聴いて山ほどある問題をチェックした。どんなに練習しても、一回の本番で得られるものにはかなわない。貴重な演奏会だった。
あと3日何をしなくてはならないか。

このところ弾きすぎていたのでさらうのは休みにして、CDを買いに行った。まだ全部聴いていないけれど5枚。
・ラフマニノフの自作自演で第2番のピアノ協奏曲。この協奏曲のすぐ後にチェロソナタは書かれている。チェロソナタをどのように感じるのか、この演奏に大きなヒントがあるはずと思う。
・アンドレ・ナヴァラの弾くボッケリーニとハイドンの協奏曲。記憶では、ハイドンの協奏曲の第1楽章のカデンツァ、フォイアマンが書いた強烈に難しいものをナヴァラがばしっと弾いていたはずだ。
・ヤン・フォーグラーの録音を2枚。「ドヴォルザーク『チェロ協奏曲』の秘密」とドヴォルザークのロンドが入った小品集。チェロ協奏曲の成立には、義姉(歌手)に対する作曲者の想いが強くかかわっていて、第2楽章には彼女が好きだったドヴォルザークの歌曲の旋律が使われていたり、彼女の死によって第3楽章のコーダは書きかえられた、とブルネロがレッスンで言ったことを思い出す。「『チェロ協奏曲』の秘密」にはその歌曲が収録されている。ドヴォルザークの素晴らしい旋律のもとはやはり歌だろうと思う。ロンドに出てくる旋律も歌曲のようだ。
・われらがマリオ・ブルネロの無伴奏のアルバム。彼がアローンを実際に弾くのは聴いているが、録音は初めて。僕の感じていたアローンは和風、うすくち醤油味だった。

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2009年9月26日 (土)

東京公演 ぴあ締め切り

10月1日東京公演のチケット、ぴあでの販売を締め切りました。お問い合わせはルンデ

052-861-0162

までお願いします。東京、10月4日名古屋ともチケットあります。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

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2009年9月25日 (金)

高村さん(ラバネロ)

せっかくラバネロで自転車をつくってもらったのに、1年くらい前突然膝が痛むようになって乗れなくなった。乗り始めは平気でも荒川のサイクリングコースに入るころ左膝のひっかかるような痛みが出てしまう。整形外科で診てもらっても何か問題があるわけでもなく、あきらめかけていた。

高村さんに相談したら、乗り方のアドバイスだけでなく、長さの違うステムに交換したり、サドルのポジションを変更したり、ととても親切に対応していただいた。六角レンチを使ってするするとステムを交換する手の動きには感心してしまった。工具が手の中で生きているようだった。ものをつくってきた手なんだなぁ。

今はリサイタルを控えているから乗れないけれど、気候もよくなってきたし、これでいければよし、残念ながら痛みが続くようだったらハンドルをフラットバーに、ペダルはスニーカーでこげるものに交換して街乗り自転車にしよう。

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2009年9月24日 (木)

ムジカーザ

10月1日の演奏会場、ムジカーザの下見に行ってきた。
ムジカーザの方たちがあたたかく迎えてくださってとてもうれしかった。ほぼ毎日演奏会が行われていて、特に土日祝日の予約をするのはかなり大変そうだ。驚くべき稼働率と思う。代々木上原の駅から近くて周囲は落ち着いた雰囲気だし、席数も最大で130席、こういう条件のホールはなかなかないのではないだろうか。

良い演奏会になりますように。

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2009年9月22日 (火)

野村監督

旅の仕事がある時、どんな本を持っていくか頭を悩ませる。夢中で読める本がある時はその旅も楽しくなる。(以前はカメラだった。行く先々の風景や状況を想像し、どのカメラとどのレンズ、というのを始終考えていた。)

福岡に持っていったのは村上春樹さんの新作「1Q84」の下巻と雑誌「Number」9月17日号。「1Q84」は入り込んでしまいそうで演奏会の前にはあまり読めず、「Number」をめくっていたら野村克也監督のインタヴューが載っていておもしろかった。
『人間というものは人の評価で生きてるんですよ。「監督やらせて下さい」って手を挙げても誰もやらせてくれない。この年になってユニフォームを着られるなんて、こんな幸せな男は世の中にいませんよ。じゃあ、なぜ出来るか?自分の能力、仕事で勝負するんです。それができなければゴマすって生きていくしかない。「自信のない奴はゴマすりまくれ。なんでも徹底的にやれ!」と私は選手たちに言ってます。今の日本は偉い人のレベルが下がってるから、ゴマすりが効くんですよ』

2009年9月21日 (月)

もしかしてほんのわずかのきっかけで

18日の演奏会には九響も含めると実は少なくとも5つのオーケストラのメンバーが参加していた。本番前日の夜焼き鳥屋で飲み食いしていたら、それぞれのオーケストラの話になってものすごくおもしろかった。一番盛り上がったのは演奏の最中に止まってしまった、セクション全体が落ちた、それからどうしたか、そういう話だ。

トリプルを弾き終わってから、なんとはなしに楽屋に高橋さん礒さんと3人集まった。ほとんどの音楽家がもし自分の手や指や体がこうだったら、という願望を持っていると思う。もっと指が太かったらとか、もし10歳の頃気付いてそれなりに過ごしたらそういう体になっただろうか、とかそんな話になった。
僕がプールに通うのは小さな体を少しでも補うためだけれど、脂肪が落ちて筋肉がついてしまうことは必ずしも良いことではないのかもしれない。筋肉は緊張した時にかたくなる。本番でいつもどおりいかなくなる原因の一つはここにあると思う。程度はあるにせよ、もし十分な脂肪がついていたらいつもかわらない重さがのるのだろうに、と思う。

落ち着いて振り返ってみて、端的に足りないものがよくわかる。いつも反省ばかりしていてしょうがないのだが、人畜無害ではない演奏がしたい。ものすごく遠いことなのかもしれないし、もしかしてほんのわずかばかりのきっかけで突破できることなのかもしれない。

2009年9月19日 (土)

アクロス福岡でのトリプル

9月18日アクロス福岡での演奏会、多くの方々にお越しいただき本当にありがとうございました。そしてこのような機会を与えていただき、またあたたかく迎えてくださった九州交響楽団と、素晴らしい指揮をしていただいた秋山和慶さんに深く感謝いたします。

トリプルコンチェルトを弾くことが決まってからずっと、いつも頭の中にはどうやってトリプルを弾くか、ということがあった。苦手な部分がいっぱいある曲なので普通にさらっていては足りないと思った。
楽器のセッティングを試行錯誤し、あきらめかけていた弓を手に入れ、プールに通い、ピアノをさらい、もちろんいろいろな面から奏法を見直して、僕としてはめずらしく音楽関係の本も読み漁った。アレクサンダーテクニークやネイガウス、ロストロポーヴィチに関する本はどれも大きな力を与えてくれた。

今回2日間オーケストラとのリハーサルがあったことも大きかった。
初日に2回、本番前日のリハーサルはアクロスで1回、当日はゲネプロと本番で2回、計5回もオーケストラと通すことができた。その3日間自分の能力を思い知り、毎日わらにもすがるような思いでさらい、本番はこれ以上もうできないのだから、と覚悟して舞台に出た。
ピアノの高橋多佳子さん、ヴァイオリンの礒絵里子さんととても楽しく弾けたと思う。たいした意味はないけれど、3人とも血液型がB型だ。

僕にとってとても大きな演奏会が終わってほっとしている。一息ついて明日からリサイタルのための、鈴木君とのリハーサルが始まる。

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2009年9月17日 (木)

映像の保存

9月14日日経新聞夕刊に「映画フィルム 保存に地域格差」という記事が載った。
中にこんな文章がある。
『デジタル時代になっても「長期保存に最適のメディアは35ミリフィルム」・・・
富士フィルム主任技師の大関勝久氏はハリウッドメジャー各社が全新作を三原色に分解し、500年もつ35ミリの白黒フィルムに焼付け、アーカイブ用に保存していると報告。』
映像は右も左もデジタル、のような気がしていたが保存に関してはそうでもないらしい。確かにデジタルのデータはコンピュータが新しくなったり、CDやDVDなどメディアが新しくなったりするとその度に移しかえていく手間がかかる。フィルムのいいところは、とにかく現物が手元にあることだ。

8月の松本では久しぶりに50ミリレンズをつけたフィルムカメラで写真を撮った。九州から帰ったら現像を受け取りに行こう。

2009年9月16日 (水)

ミュレール先生のバッハ

体中トリプルコンチェルトであふれそうになっている時に、あるチェリストがフィリップ・ミュレール先生の弾くバッハの組曲のCDのことを教えてくれて聴いたら素晴らしくて、目が覚めた。

20代はほとんど毎年のように京都フランス音楽アカデミーでミュレール先生に習った。CDを聴いて、水を得た魚のように弓が弦の上で動くボウイングや、しっかり並ぶ左手の指をありありと思い出した。
レッスンの時、音楽とは音と音の間にある、と言っていたことを今でもよく思い出す。先生が子供の頃、パリのコンセルバトワールの偉い先生が言ったことなのだそうだ。音と音の関係から音楽が生まれるのに、僕は技術的な都合でよく音が切れる。録音を聴くと音のつながりやフレージングの素晴らしさに圧倒される。今の若い人たちの冴えた演奏も素晴らしいけれど、ミュレール先生もやはり素晴らしかった。

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2009年9月14日 (月)

トリプルの並び方

九州に行く前の最後のトリプルの合わせをした。なんだか少しほっとしている。
独奏者が3人という協奏曲はあまりなくて、今日もどうやって並ぶのだろうか、という話になった。バレンボイムが弾き振りをしている映像では、まるで古典の協奏曲を弾き振りするようにふたを取りはらったピアノをオーケストラの真ん中に置き、バレンボイムは客席に背中を見せる。彼の左肩の位置にヴァイオリンのパールマン、右肩にヨー・ヨー・マが座る。アンサンブルの面でもバランスの面でもとてもいいと思う。
これまでにどうやって弾いてきたのか、不思議なことにあまり覚えていなくて、でも多分舞台上手からヴァイオリン、チェロ、ピアノとほぼ横一列に並んでいたような気がする。最大の問題はチェロから指揮者がものすごく見づらいことだ。
ヨー・ヨー・マがスターンと弾いている映像では横一列の並びを変形して、チェロがうんと奥に入っていた。こうすれば指揮者とコンタクトはとりやすいが、今度は音が届きにくくなる。あの人だからできる配置と思った。

長く準備をしてきたが、まもなく本番になる。実際にオーケストラと広いアクロス福岡でどんな音がでるのか、もちろん不安はあるけれど、でも楽しみだ。

2009年9月12日 (土)

小休止

さらって、合間に演奏会の準備をして、と今週はなかなかタフだった。チェロはすっかり煮詰まってしまったので今日は休み。
プログラムに載せる曲目解説の下書きをとにかく書いて、少しほっとした。

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2009年9月11日 (金)

赤い弦 その後

だいたいいつも、大きな本番に合わせて弓の毛替えをしたり、弦を替えたりする。
今度張り替えるとA線(1番線)とD線(2番線)のストックがなくなってしまうので、いつも弦を買う楽器店に問い合わせたら、ヤーガーのフォルテのD線は問屋でも欠品中、とのことで少し慌てた。
もうずいぶん前、ヤーガーが手に入りにくくなり品質も落ちた時期のことを思い出したのだ。幸い別の楽器店ですぐ手に入った。

世界にはそれなりの数のチェロを弾く人たちがいて、それなりにチェロ弦の市場もあるはずだけれど、たとえばヤーガーとかスピロコアというメーカーはきっと大きくはないと思う。もしかしてヤーガーのチェロのフォルテの弦はある決まった職人がつくっているかもしれない。

弦はとても大切だ。でもどんな素晴らしいものでも、もしかしてなくなることもあるのかもしれない、と思った。
事実、金属の缶に入ったベルナルデルの魔法のような松脂はなくなってしまった。製造されなくなったからよけいそう感じるのかもしれないが、本当に魔法のように音が立ち昇る松脂だった。
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2009年9月10日 (木)

雑音の原因

僕のチェロは時々ある音を弾くとびりびり雑音が出る。
どこかがはがれかかって浮いているのが原因だと思うが、不思議なことに、どこかから出ているのは確かでも場所を特定するのはとても難しい。とにかく弾くと気になるので、先日重野さんに見てもらった。
歯医者に行くと歯痛がおさまる、まさにそのとおりで伺ったときには雑音はかなり少なくなっていた。全体を見てもらったら、f字孔の近くに膠(にかわ)が入っていく割れがあったとのことだった。

今のところすっかり雑音はなくなって、楽器も強くなったような気がする。

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2009年9月 8日 (火)

どうぞお早めに

長谷部一郎 チェロ・リサイタル、チケット絶賛発売中です!

10月1日(木)19時開演 代々木上原 ムジカーザ

10月4日(日)14時開演 名古屋 電気文化会館

ピアノ 鈴木慎崇

ラフマニノフ:チェロ・ソナタほか

http://ichirocello.cocolog-nifty.com/blog/ensoukai.html

お問い合わせ、お申し込みはどうぞお早めに、

ルンデ 052-861-0162

または

チケットぴあ 0570-02-9999

までお願いいたします。

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2009年9月 6日 (日)

左右逆だった

昨日さらっていて気がついた。
チェロを弾く時、左手は弦の響きをつくるポイントとなり、押さえる指の場所(指の腹とか先とか)やヴィブラートで音色を変える。右腕は全ての関節に緊張がなく、弦の振動を生み出し、けっして弦の邪魔をしない。弓は僕たちの息だし、声だ。
どうやら今まで右と左の役割を逆に思っていたらしい。だからいろいろなことに不都合があったのだ。そんなことも知らずにいたのか、と言われそうだが、やっと気がついた。

2009年9月 5日 (土)

豊かな広がり

リサイタルの前半で弾く小品やトリプルコンチェルトに気をとられていて、今日久しぶりにラフマニノフのソナタをさらった。全曲を弾くのは2年ぶりと思う。

ラフマニノフはいろいろなところで弾いたけれど、宮城県の登米祝祭劇場での演奏会がとても印象深い。秋が深くなっていて、夕方の空には雁の群れがV字になって飛んでいた。その情景がこの曲にとてもあっていると感じたのだ。
第2楽章について、「ロストロポーヴィチ伝」にはこんな記述がある。
『いいかい?ラフマニノフの音楽には豊かな広がりがあるんだ。刈りたての干し草が積まれた、牧場の匂いを感じてごらん・・・彼は夏のあいだタンポフの近くにある別荘ですごした。そして近所に住む魅力的な女性、ナターシャ・スカロン(のちのラフマニノフ夫人)と出会った・・・そこはすべてが豊かに揃っていた。子豚のローストにカーシャ(そばがゆ)、明るい太陽・・・この主題の背景にはそんな豊かさがある。山盛りのテーブル、満ち足りた感覚。』
二分音符と四分音符だけでどうしてこんなにロマンティックな旋律が書けたのだろう!

2009年9月 4日 (金)

スターンと一緒のマ

松本から帰ってきて、トリプルの合わせやリサイタルの準備が本当に始まった。
今日3人で練習をする前にヨー・ヨー・マの弾くトリプルのレーザーディスクを見た。DVDとは違う演奏で、こちらのヴァイオリンはアイザック・スターン、ピアノはエマニュエル・アックス。スターンと弾いている時のマは、まるでやんちゃ坊主でとても楽しそうだ。本番中に笑ったりウィンクしたり、とにかく尋常ではない弾け具合だった。

2009年9月 3日 (木)

「ロストロポーヴィチ伝」

「ロストロポーヴィチ伝」にはすぐ役に立つことがいっぱい書いてある。

例えば暗譜について、
「ロストロポーヴィチは記憶には視覚、聴覚、触覚による記憶があるが、なにより重要なのは音楽による記憶だと言っていた。音楽が確実に記憶されていれば、ステージでたとえ指使いや弓使いを忘れても、その場で工夫して弾くことができる。ロストロポーヴィチ自身はチェロ・パートを練習する前に、かならずスコアをすべて頭に入れた。そして最後にチェロ・パートをピアノ(音の出し方がチェロとまったく違う楽器)で弾いて、完全に覚えたかどうかチェックした。」

またロストロポーヴィチもリヒテルも、楽器を演奏する時に最大限の力で弾かない、という意味のことが書いてある。
本書に録音時のエピソードがあるヴァーツラフ・ターリヒ指揮チェコ・フィルとのドヴォルザークの協奏曲のCDを手に入れて聴いた。録音の状態は悪いが演奏は素晴らしい。きっとどこの関節も締まっていない、ゆるい状態で弾いている音だと思う。
ベルリン・フィルにいたウォルフガング・ベッチャーさんが桐朋でレッスンした時、ロストロポーヴィチの右腕の脱力について言ったことの意味がようやくわかったような気がする。

2009年9月 1日 (火)

帰京

名古屋で大事な用事を済ませて帰京。久しぶりに東京に戻って、ピアノをさらえることがうれしい。

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