豊かな広がり
リサイタルの前半で弾く小品やトリプルコンチェルトに気をとられていて、今日久しぶりにラフマニノフのソナタをさらった。全曲を弾くのは2年ぶりと思う。
ラフマニノフはいろいろなところで弾いたけれど、宮城県の登米祝祭劇場での演奏会がとても印象深い。秋が深くなっていて、夕方の空には雁の群れがV字になって飛んでいた。その情景がこの曲にとてもあっていると感じたのだ。
第2楽章について、「ロストロポーヴィチ伝」にはこんな記述がある。
『いいかい?ラフマニノフの音楽には豊かな広がりがあるんだ。刈りたての干し草が積まれた、牧場の匂いを感じてごらん・・・彼は夏のあいだタンポフの近くにある別荘ですごした。そして近所に住む魅力的な女性、ナターシャ・スカロン(のちのラフマニノフ夫人)と出会った・・・そこはすべてが豊かに揃っていた。子豚のローストにカーシャ(そばがゆ)、明るい太陽・・・この主題の背景にはそんな豊かさがある。山盛りのテーブル、満ち足りた感覚。』
二分音符と四分音符だけでどうしてこんなにロマンティックな旋律が書けたのだろう!
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