赤い弦 その後
だいたいいつも、大きな本番に合わせて弓の毛替えをしたり、弦を替えたりする。
今度張り替えるとA線(1番線)とD線(2番線)のストックがなくなってしまうので、いつも弦を買う楽器店に問い合わせたら、ヤーガーのフォルテのD線は問屋でも欠品中、とのことで少し慌てた。
もうずいぶん前、ヤーガーが手に入りにくくなり品質も落ちた時期のことを思い出したのだ。幸い別の楽器店ですぐ手に入った。
世界にはそれなりの数のチェロを弾く人たちがいて、それなりにチェロ弦の市場もあるはずだけれど、たとえばヤーガーとかスピロコアというメーカーはきっと大きくはないと思う。もしかしてヤーガーのチェロのフォルテの弦はある決まった職人がつくっているかもしれない。
弦はとても大切だ。でもどんな素晴らしいものでも、もしかしてなくなることもあるのかもしれない、と思った。
事実、金属の缶に入ったベルナルデルの魔法のような松脂はなくなってしまった。製造されなくなったからよけいそう感じるのかもしれないが、本当に魔法のように音が立ち昇る松脂だった。
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