心に思い描く
東京都写真美術館でサルガドの写真を見て、何より被写体に対する思いが大切と思った。
チェロを弾く時、技術や楽器の状態など実に様々な外的な要因も関わってくる。今までそういうことにばかり気をとられていたと気付いた。技術を訓練しておくことはもちろん欠かせない。楽器はセッティングによって、弓によって、松脂によって、弦の組み合わせによって、エンドピンによって、床の状態によって、音が違ってくる。
楽器の状態に心をくだいてそこから出る音を物理的にどうかしようとするのではなく、どんな音楽を、どんな音を、どんな音色を、どんな音程を心に感じられるか思い描けるか、そこが全てといまさら気付いた。気付くには、恥ずかしいことにずいぶん時間がかかった。
そう気付いたらチェロを弾くことが本当に自由で幸せなことになった。長いこと楽器を弾く技術にものすごくとらわれていたのだ。楽器のよく鳴る状態もつかめるようになった。これまでチェロを生かせていなかった。
こうしたことをトリプルを弾いた時や10月の演奏会の時にわかっていたら、とは思う。でもあの時必死にさらったらから今いろいろなことが遅いながらもわかってきたのかもしれない。
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