首を長く長くして待っていた
見附さんからエンドピンが届いた日に毛箱ができたという連絡が入って、翌日朝一番に重野さんの工房に向かった。
ささくれた棍棒のような弓で力はあって音も出るのだけれど、音が散ってしまって焦点を結ばない感じがすることや高い音が神経質で薄く硬くなってしまうこと(自分のことを完全に棚に上げて言えば、上手にはきこえないということだ)、硬くて右手の負担が大きいことがどうしても気になって使わなくなっていた。
毛箱の形だけでも変えたらもしかして使いやすくなるかもしれない、と思い先月お願いした。(12月4日の日記を参照 http://ichirocello.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/index.html)
2ヶ月近く手元にないとさすがに寂しい感じがするようになっていた。
いつもの重野さんの素晴らしい仕事で新しい毛箱のついた弓は、まったく別物のようになっていた。かたくて神経質だったじゃじゃ馬のような性格は、落ち着いて少しだけしっとりとした音とバランスになった。毛箱だけでこんなに音や使い勝手が変わるとは驚きだ。世の中にはもしかして、弓自体はとても良いのに毛箱で損をしてしまっているものや、その逆のものもたくさんあるかもしれない。
エンドピンで楽器が毛箱で弓が大きく変わり、今とても新しい気持ちでチェロを弾いている。仕事で一日中弾いてへとへとになって帰ってきて、それからまた弾いたりしている。
下の画像は黒檀のブロックから削り出した毛箱の試作。天地が逆さまになっている。