文化会館のオーケストラピット
今日からオテロの通し稽古が始まった。
東京文化会館のオーケストラピットに入るのは7年くらい前の小澤さんのオペラ以来。すっかり忘れていたけれど、広くて快適だ。快適性はピットの中で何日も穴倉生活をする上でとても大切なことだ。幸い近所の人間や楽器や譜面台と弓もぶつからず、指揮者も見える。時々シンバルや鐘が炸裂するので、その場所は楽譜に書き込んでチェロの糸巻きで耳をふさいだり前進守備をとったり覚悟を決めたりして、一瞬聴覚を失う事態は避けられるようになった。
文化会館のステージは、オペラの舞台が上・オーケストラの演奏会で使う舞台が下という巨大な二層構造になっている。つまり大きな2階建てのエレベーターがあって、上階がオペラの舞台、下階がオーケストラの舞台、と考えるとわかりやすいだろうか。ピットの裏側からは見慣れた舞台が奈落に沈んでいるのが見える。一応手すりはあるが、高所恐怖症の人間は近寄りたくないくらいの高さだ。公演中にもし地震が起きたりとか火事になったり、などとは洒落にならないので考えないようにする。
文化会館の舞台袖にはいっぱい落書きがある。いろいろな団体が書いていて玉石混交だが、ピット裏の落書きはなかなかのものがあると思う。
イタリア語を聞くのは大好きだ。ころころとした陽気な音は耳に心地よい。
オテロのパート譜には歌詞のガイドがかなり書いてある。今日から字幕が入ったのでほんの少しだけイタリア語の意味がとれるようになった。感心するのは音楽と言葉が切り離せない深い関係を持っていることだ。なるほど、と唸りたくなる。
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