柔よく剛を
バンクーバー・オリンピックが始まってからついつい競技の中継を見てしまうことが多く、物事がはかどらなくて困る。
開幕に合わせてのNHKスペシャル「ミラクルボディ」を見た。3回の放送のうち、ジャンプのシモン・アマンを取り上げた回が特におもしろかった。大柄なジャンパーが有利とされる中で、身長172センチの彼がなぜ遠くまで飛べるのか様々な観点から分析をする。彼のバランス感覚は驚異的だった。実際、開幕してすぐのノーマルヒルで素晴らしいジャンプを見せて優勝した。
シモン・アマンの飄々とした雰囲気とともに、体の大きさやパワーではない彼の強さは、柔よく剛を制すという感じで実に痛快だった。
弦楽器を弾くときにも弓のバランスのとり方というのがきっとあるに違いない、と思ってしまった。
様々な競技を見ていて、多くが短い時間で終わってしまうことに厳しさを感じる。4年間積み上げてきたものがあっという間に終わってしまうのだ。
くらべてはいけないが、小さな本番でも僕たちの体が思うように動かずひやりとすることがある。選手たちに4年分の思いと周囲の注目はきっとかなりの重さとなってのしかかるだろう。
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