メサージエスキス
一昨日からJTチェロアンサンブルの練習が始まっている。
昨日ブーレーズのメサージエスキスが本当に弾けなくて、ぺしゃんこになって帰宅した。ソロの向山さんのすさまじいテンポにまったくついていけなかったのだ。職業音楽家として大変まずいことになった、と思った。
今日はその前に、生野で弾くショスタコーヴィチのトリオの合わせがあった。高橋さん礒さんと会うのは福岡でトリプルを弾いて以来。久しぶりのトリオはとても楽しかった。
少し気をとりなおしてJTに向かう。今日のブーレーズは並び方を少し変えてもらったことと、昨晩の泥縄のような勉強が効いたのか、どうにかよろよろついていった。
こんなに大変な曲なのに実はいくつも録音がある。僕が持っているのはバレンボイムの指揮するパリ管のチェロセクションによるもの。他には、ケラスが楽譜の表示テンポを上回るような超速で弾き飛ばしているもの(人間技とは思えない)、ゲリンガスが指揮をしている(!)もの、ロシアのチェリスト達が弾いているもの。
今回の向山さんの弾け具合は圧倒的なものだと思う。後ろの我々6人はとにかく取り残されないように必死だ。でもこんな年になっても「弾けない!」とか「落ちた!」とか子供みたいに騒いで、自分の能力の限界(年々落ちているかもしれないのだが)に挑戦できることは幸せだと思う。
このチェロアンサンブルがないとなかなか一緒に仕事をする機会のないチェリストがいる。あまり言葉を交わさなくても、隣で弾いたりさらっているのを聴いたりするとその人の流儀がよくわかってとても刺激になる。
しばらく練習するとすぐ休憩になるのも特徴で、いつも雑談が大変盛り上がる。内輪にしておくのがもったいないくらいだ。今回秀逸だったのは、どんな弦を張っているかという話題でそれぞれうんちくを語った後、ある方が何年も弦を換えていないと言ったのには一同爆笑して、それから「弦じゃないんだよな(腕だよな)・・・」とうなだれた。
JTチェロアンサンブルは明日本番。
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