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2010年3月 4日 (木)

ラズモフスキーの第1番と「運命」

ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の作品番号は67、ピアノ・ソナタ「熱情」は作品57、ヴァイオリン協奏曲は作品61、第3番のチェロ・ソナタは作品69、そしてラズモフスキー伯爵に捧げられた3曲の弦楽四重奏曲は作品59、いわゆるベートーヴェンらしい最も充実した時期だと思う。これより先になるとベートーヴェンはだんだん人間ばなれして、地上の人ではないような高みにいってしまう。

ラズモフスキー第1番の第2楽章は16分音符がさまざまなモチーフの形をとりながらひたすら続いていく軽快な楽章だ。都響で運命」を演奏していた時、あの有名な8分音符のモチーフ(「運命がとびらをたたく」)が続いていく第1楽章のアイデアはすでにラズモフスキーで練られていたのでは、と思った。ラズモフスキーの方はかなり精密に書いてあるのだけれど、運命では同じ音価の音符の連続がより明快に力強くなっていると思う。
他にも、ラズモフスキーの第1楽章の中で2本ずつの楽器が2分音符を交互にやりとりする場面が3か所あり、それはちょっとした謎だった。でも「運命」の第1楽章の再現部に入る手前で木管楽器と弦楽器が同じように2分音符をやりとりしていることに気付いた。これだ、と思った。

ピアニスト、リチャード・グードがカザルスホールでベートーヴェンのピアノソナタの連続演奏会をした時、ベートーヴェンの32曲のピアノ・ソナタはどれも個性的あるいは独立している、というような趣旨のことを述べていたのがとても印象的だった。
ラズモフスキーの3曲もまぎれもなくベートーヴェンの作品なのだけれど、まるで似ていない。どうして同じ時期にこんなに違う曲が書けたのだろう。当時彼はまだ30代だった。

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