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2010年3月15日 (月)

江ノ島へ

朝から晩までベートーヴェンの作品番号の考察にふけってばかりいた訳ではもちろんなく、ひそかに釣りの準備はしていた。リールに新しい糸を巻いたり、ルアーを買い足したり。
いつもは3月になってから芦ノ湖の解禁を意識していたのに、今年は早々と1月くらいから魚がアタった時の感触を思い出していた。どうしてだろう、開高健風に言えば、心に負った傷を癒したいと感じているからだろうか・・・!?

今月に入り釣りに行くチャンスは何度かあった。その度に確定申告だの風邪だので見事に行けない。今日こそは芦ノ湖、のはずだったのに先週不覚にもひいてしまった風邪がきれいに抜けていないこと、強風の予報に怖気づいたこともあって諦めてしまった。そうだ、あんなに頑張ったラズモフスキーの本番前に風邪がぶり返すようなことがあってはならないのだ。
休みの度に雨で、1月の後半からいつ遊んだのか覚えていない。よほど日ごろの心がけと行いが悪いらしい・・・。今本当に必要なのは作品番号の考察ではなく外て遊ぶこと。

本棚にある開高健の著作から「オーパ、オーパ!! アラスカ篇 カナダ・カリフォルニア篇」を出してきて久しぶりに読んだ。おもしろい。こんな具合だ、
『・・・いきづまった創作のことを考え、文体と主題のひめやかで決定的な相関関係のことを考えているうちに、いよいよ魚が釣れなくなった。私は私と対話するだけだが、それはセント・ジョージ島の沖でもおなじことだったが、どうやらここでは私は自身を川に落としてしまったのであるらしい。まるで、ダメだ。・・・
・・・竿のさきには、いつまで待っても、ついに電撃と重量がつたわってこない。たくましい手でやにわにいきなりひったくるようなショックは、ついに、ひとつも、つたわってこない。カモメが風のなかで上ったり下ったりしつつ、ときどき短く絶叫し、私は私自身を釣ることができないでいるらしいと、鋭く感知させられる。晴れる日もあれば、曇る日もあると。そう思うことにしておこうか。・・・』
『・・・釣師は魚にそれ以外の何かを求めて放浪する。その'何か'は短く説明することがなかなか容易でなく、意識下にひそむものもおびただしいので、釣師自身も知覚しきっているとはけっしていえない。いわば彼は輝かしい川岸に立つ暗い人である。』

「オーパ、オーパ!!」を読みながら江ノ島に行った。久しぶりの江ノ島はあたたかでおだやかだった。砂浜に柔らかく打ち寄せる波の音は実に心地良かった。このところきつい音ばかり耳に入っていたのではあるまいか。Photo_2

なんだか人が多く、猫は少なかった。かくれているというより絶対数が減ったような気がしたし、おびえているような気もした。駐車場でバスケットボールのようによく肥えた何十匹もの猫に囲まれたのは遠い昔になってしまった。江ノ島の猫が減ったことは良いことなのかそうではないのか僕にはよくわからないのだけれど。

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でもいつものアイツには会えた。

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