羽毛にくるまれたような
今日は月曜日。
ヤマハホールでのチェロアンサンブルのリハーサルが始まった。
ゲリンガスさんと一緒に弾くのは初めて。強く弾く人、と思っていたけれど、間近で見る右手と左手は見事な脱力だった。弓はふわっと持っているから、ぶつけても音がつぶれたりかたくなったりすることがないし、左手は指板の上でやわらかくボールが回る感じだ。
右腕に力が入らないようにとは思っていても、左を抜くと破滅的なことになるのでできないと思っていた。弾け具合がまったく違うんだなぁ。音はとても大きいのだけれど、誤解を恐れずに言えば、弾き方は羽毛にくるまれているようだ。全身がクッションのようになって弾いている。
ゲリンガスさんの演奏会や公開レッスンを見る機会は多く、クールな印象を抱いていたけれど、練習中も茶目っ気たっぷりだった。心も楽器を弾くことも、とにかく外に向かって開けようと思った。僕もきっとまだまだ音が出る。
プログラムの中にウルヴァイティスのバッハバリエーションという曲がある。チェロ組曲をモチーフにして、6パートがだいたい半拍ずつ遅れて追っかけていく。よく知っている曲が分解されて、しかも違う拍子にはめこまれてしまうとけっこうびっくりする。時々ブランデンブルクの6番のような響きになるが、はたして。
ヴィヴァルディの2本のチェロのための協奏曲はゲリンガス版で、ソロと伴奏を6パートに振り分け、全員がすべてのモチーフを1回は弾くようにできているらしい。成田からフランクフルトに飛ぶ機内で編曲したそうだ。
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