自由な弾き方、ヤマハホールの音
ゲリンガスさんの弾き方はとても自由だった。心と体はたぶん表と裏の関係で、どちらかがかたくなるともう一方もかたくなる。こう弾かなくてはならない、という思いが体を締め、楽器と心も締めてしまうのかもしれない。
僕はどうしても細部をきちんと弾こうとする。でも少し離れて見た時、細かい仕上げはほとんど目に入らず、力強い一本の描写の方がずっと説得力を持つ、そういうことなのかもしれない。
ヤマハホールの音には経験したことのない要素があった。舞台の音は1階の客席より、2階席により直接届く。1階は響きがブレンドされるが、2階は弓の毛が弦にかむ音まで聞こえそうだった。
舞台の木は白木のままで、たたくとコツコツという音がした。よく選ばれた厚さのある材料だと思う。舞台と楽屋、客席とロビーの関係は少し遠かった。
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