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2010年8月11日 (水)

言葉と音楽

オペラを弾くと、言葉と音楽の密接な関係に気付く。この時西洋音楽が遠いものに感じられ、母語でオペラができる人たちがうらやましい。
サロメの、ワイルドの原作(もちろん日本語で)を一通り読んでからスコアを見ると、僕のはなはだいい加減なドイツ語の知識でも時々意味がとれる。

望みのものを何でも与えるからというヘロデ王の願いでサロメは踊り、踊った後で預言者ヨハナーンの首がほしいと言う。ヘロデ王はそれだけはだめだ、と様々な宝を代わりに差しだそうとするがサロメはすべて拒否する。このやりとりはオペラの大きな山場だ。

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画像はついに望みをかなえたサロメがヨハナーンに口づけをする箇所。
左端の小節からヴァイオリンがド・ド・ド・ミと3回続けて弾くモチーフは、それまでサロメがヨハナーンの首を要求する歌詞を乗せて何度も決然とした声で歌ったもの。今度はそれに乗せて「あなたに口づけをする」と歌う。ずっと暗い和音だったのが、右端の小節で「kussen」(口づけ)と歌う時に急に明るく柔らかい和音になる。劇的だ。

こうした言葉とモチーフと和声の実に巧みな絡ませ方を知ると、シュトラウスは尋常ではない人間とあらためて思う。

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