偶然 その2
都響のリハーサルが終わった後、上野のヨドバシカメラで各種新製品を眺めて文化会館に戻ったら、楽屋口に燕尾服を着た外国人が何人かいた。それ自体は別に珍しいことではないのだが、中に見知った顔があった。すらりとした長身に金髪。
10年以上前、3回目に行ったシエナで僕は住むところがなくなって、チェロのたまり場となったアパートに転がりこんだ。その長身はなぜだかそこで1週間くらい同室だったコスティアというロシア人のヴィオリストだった。彼はフィレンツェの中央駅経由でシエナに来たのだけれど、中央駅でひったくりにあい、自分のシャツが破れるくらいの抵抗をして鞄を取り戻した、と言っていたことを思い出した。あの頃キジアナ音楽院のヴィオラはユーリ・バシュメットが教えていた。
東京文化会館は今ロイヤルオペラの来日公演があり、幕間の休憩だったらしい。彼は「プリンシパル(首席)をしている」と言っていたからたいしたものだ。
思いもよらないところで思いもよらない人に会う、ということが僕には時々ある。宝くじだったら3億円当たるくらいの稀な確率だと思うのだけれど。
(去年11月9日の日記「偶然」をご覧ください http://ichirocello.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-8a54.html)
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