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2011年2月15日 (火)

暗譜してから、触感の問題

ジョナサン・コット著「グレン・グールドは語る」を読んでいたらとても興味深い部分があった。下記に

『何年も前、ベートーヴェンのソナタ第30番作品109を初めて弾くことになりました。確か19歳の時で、・・・私はあまり練習をしなかった。今はまったくと言ってよいほど練習しませんが、当時でさえ楽器の奴隷になりようがなかった。ピアノから離れて楽譜を勉強する癖があったからで、完全に暗譜してからピアノに向かうようにしていたのです。もちろんこれも、何らかの強い表現行為から触感を切り離す作業と考えられます。・・・』

この後、終楽章の第5変奏の上行音型で音程間隔が6度から3度に切り替わるところで
『文字どおり避けたり止まったりしない限りはこの箇所に到達できなくなりました。まさにその瞬間に私は硬直してしまうのです。』
(この状況を克服した大変興味深い方法については本書をお読みください。第1部41ページ以降)

『・・・障壁は消えていました。今でも、ときどき、たわむれに、障壁が戻っていないかどうかを確かめようと、ピアノに向かってこのパッセージを弾いてみます。大丈夫だ、障壁は戻っていない。かくしてこのソナタは私のお気に入りの公演曲目となったのです。
結局、どんなピアノを弾くときでも触感の問題は避けられない。だからこそ、その現実認識をそっくり拭い去るようなピアノへの接し方を、まず見つけることが肝要なのです。』

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