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2011年7月12日 (火)

石巻

ただならぬ気配に昨晩は何度か目を覚ました。
午前中は河北中学校に間借りしている雄勝(おがつ)小学校へ。今日は演奏の前に少し楽器に触れて、落ち着いて弾けた。
雄勝小学校も大きな被害を受け、6割近い児童が転出して今全校児童は41名。地震の前と同じ家に住んでいる子はたった一人、スクールバスは毎朝1時間半かけて家、避難所、仮設住宅を回り学校に到着するそうだ。
3月に行われるはずだった卒業式は延期され、つい先日7月3日に県外にいる卒業生も集まって行われたそうだ。金庫に保管されていた卒業証書は水につかり、印刷会社も被災しているので、新しい卒業証書ができてくるまでにどうしても時間がかかったとのことだった。

津波の恐ろしいのは、広範囲にわたって根こそぎ壊されてしまうことだと思う。こんな災害は他にないのではないか。
一方石巻市内でも高台に上がると、何事もなかったように見える。

今回のアウトリーチではありがたいことに、チェロ用にいつも同じピアノ椅子を使わせていただいた。この椅子は、やはり津波の被害を受けた石巻市民会館(数年前、都響本体で演奏した)の舞台に置かれ、足の数センチまで水につかっていたもの、と教えてもらう。
古い石巻市民会館は今年3月13日に最後の公演があり、その後建て替えられる予定だったそうだ。

午後は前谷地(まえやち)小学校へ。ここはかなり内陸に入ったところで、新しい校舎に被害はほとんどないように見えた。子供たちは屈託がなくとても元気だった。
それまで訪れた石巻女子商業高校も雄勝小学校も大きな被害を受け校舎が使えなくなり、他の学校に間借りしている。あの子たちは元気そうに見えて、やはり大きなものを抱えていると感じた。

演奏が終わると大きな入道雲が出て、すっかり夏の空だった。

Natsunosora

石巻からわずか数時間の移動で東京の雑踏に戻ると、目の前のことが信じられず茫然としてしまう。

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