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2011年7月18日 (月)

楽しい時間は

ベルクのヴァイオリン協奏曲の第2楽章にはバッハのコラールが出てくる。その旋律がクラリネットにある時、セカンドヴァイオリンが追いかけてシ・ド・レ・ミ、ソ・ファ・ミ・レ・ドと弾く。そのミを開放弦で弾くようにアラン・ギルバートは求めた。オーケストラでヴァイオリンがピアニシモを弾く時、E線の開放弦は基本的に避けると思う。でも今回はその開放弦が、無垢な子供が弾くヴァイオリンのようで、とても効果的だった。
「ある天使の思い出に」という題のついたこの協奏曲、曲の持つストーリーや作曲された時の状況はシリアスだ。今日のツィンマーマンは一段と素晴らしく、まるで天使が見えるかのようだった。

昨日の演奏会も良かった。今日は、前半の2曲はゆとりがあってより自由だったし、ブラームスの1番では何か大きなものが見えたような気がした。楽しい時間はすぐ過ぎる。舞台で弾きながら、演奏が終わりに近づいていくことを残念に感じた。またアラン・ギルバートに来てほしい。

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