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2011年9月 1日 (木)

音楽とは

昨日見たイッサーリスのDVD、字幕が無く僕の拙い英語力では心もとないのだけれど、「not solid」(音楽の流れに関して、かたくならないように、ということだろうか)とか「fly!」とかいう言葉が印象的だった。

音楽とは何か、ということを最近考える。パリのフィリップ・ミュレール先生は、彼が子供の頃習った当時のパリ音楽院院長の「音楽は音と音の間にある」という言葉を教えてくれた。
このところ意識するのは、音符の背後にある音楽の動き、様々な動きだ。それを意識し始めるとベートーヴェンの音楽はものすごくおもしろいことに、ようやく気付いた。
音楽は平衡を保っている、つまりバランスがとれていてどこにも行かず安定していることはあまりなくて、歩くように進んだり、速く進んだり、たたみ込んでいったり、遅くなったり、伸びた分だけ縮もうとしたり、不安な気持ちから安心に移ったり、暗欝になったり、激情を起こしたり、勝利を感じたり・・・。ヤジロベエが一つの端からもう一つの端へ動き、さらに動いた先で別の支点に乗り移ってさらに動いていく。いつもバランスを取ろうとして動いている。
ピアニストは、ベートーヴェンの音楽を一人だけで感じつくっていくのだから、そのおもしろさはきっとこたえられないだろうと思う。

コダーイの無伴奏を(第1楽章だけ)さらっている。これまで何度も弾いてきたのに、思い返すと恥ずかしい。何度目かの今度は、まるで初めて弾くようだ。音符の後ろに様々な動きや道が見える。

自分のことがよく見えずつい調子に乗りがちな僕の手綱をいつも締めてくれたのがエディロール(PCM録音機)だった。今日新しい録音機を買った。タスカムのDR-05。

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タスカムの音は、まだ自分のチェロの音を撮ってみただけなのだけれど、何より情報量が多くて素直だと思う。明るく、様々な倍音の乗り方がよくわかる。エディロールは、良く言えば、密度の濃い締まった音だろうか。僕に骨身に沁みる教えをくれたエディロールR-09HRはもう作られていないらしい。
タスカムのいいのは録音したファイルを後で分割できること(エディロールはこれができなかった)、残念なのはリモコンがないこと(エディロールのリモコンはとても便利だった)。
これでコダーイに磨きをかけよう

それにしても、こんなに良い音で録れて使い勝手のいい道具が1万円を下回る金額で手に入るのには驚くしかない。
僕の最初のウォークマンは中学生の時に買ってもらった「レコーディング・ウォークマン」。それは宝物だったのだけれど、付属のマイクで録った自分の音は僕に深い試練を与えたもうた。乾電池とカセットテープの残量をいつも気にしながら使ったあのウォークマンは、確か定価で\36,800したはずだ。

夕方のニュースでミューザ川崎を取り上げていた。先の地震で天井の大部分が崩落したのは、強度計算がされていなかったからではないか、という示唆があった。部材を支える金具(荷重に耐え切れず曲がり伸びていた)は近所のホームセンターで扱っていそうな華奢なものだった。
巨大な反響板がその程度の部品で支えられていると知ったら、怖くてとても舞台には上がれないだろう。あの時誰もホールにいなくて本当に良かった。

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