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2011年11月14日 (月)

オーケストラは楽しい

ヨー・ヨー・マがチューリッヒ・トーンハレのオーケストラとショスタコーヴィチの協奏曲を弾くのを聴きにサントリーホールに出かけた。
楽器も衣装も持たず、日が暮れてから、しかも正面入り口からサントリーに入るのは新鮮だった。

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ヨー・ヨー・マを聴くのは、ずいぶん前、在京のオーケストラでシューマンとドヴォルザークを弾いた演奏会以来。同じ会場の同じような場所だったけれど、今日のほうがよく聞こえた。彼が周りの人を幸せにする空気は変わらない。
チェロの一番くびれたところが丁度膝に当たるくらい、つまりとても低くチェロをかまえて、指板はもちろん見ない。うーむ。
ある時は少ない弓でしっかり弦をつかみ、ある時は早く、ある時はかなりの高さからぶつけて、曲の最後では弓を握ってショスタコーヴィチを弾いていた。飄々と弾いていた。協奏曲を弾くことが当たり前の日常のようだった。もし開演1時間前に「マさん、今日はショスタコーヴィチではなくシューマンをお願いします」と言われたってできそうな感じだった。

この前に外国のオーケストラを聴いたのは10年以上昔にシエナのドゥオモで、ロンドン交響楽団のブラームスや、メータの指揮するイスラエル・フィルのマーラー以来だと思う。あの頃はオーケストラの経験もあまりなかったし、風呂場以上に音が回ってしまうドゥオモの音響もあって、なんだかよくわからなかった。

今日は舞台がよく見渡せる場所に座り、トーンハレのオーケストラの様々な流儀がわかって楽しかった。
協奏曲の時の弦楽器はチェロが外側、交響曲の時は対抗配置(上手からファーストヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、セカンドヴァイオリン)、金管打楽器は一番後ろの壁沿いにいて、木管や弦楽器との間にまるまる一列開けてある。

ヨー・ヨー・マを聴きに行ったので、後半のマーラーの5番には特別の興味は持っていなかった。しかし、なんとまぁ、素晴らしくてびっくりした。
トランペットやホルンの1番はもちろん(若いホルンの1番奏者は3楽章になると指揮者の横で吹いていた)、2番や3番、どの奏者も上手だったし、弦楽器は弦楽器群として見事にまとまった音だった。
小太鼓がティンパニとアイコンタクトをとりながら音を出したり、大きなシンバルから長身を生かして見事な音色を引き出したり、ミュートの付いた金管と付いていない金管の音色や打楽器の音色を巧みに使ったオーケストレーションに感心したり、コントラバスのすぐ隣にいるハープの4楽章のアンサンブルが心地よかったり、いろいろなことが見えた。

ディビット・ジンマンの指揮は初めて。無駄な動きはなく、いつも的確で、出る時は出る指揮だった。きっと弾きやすいだろうと思う。オーケストラとも良好な関係のようで、舞台上に流れの滞るところはなかった。
実にいい時間だった。オーケストラは楽しい。

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