ベン・シャーン、シャフランの指使い
葉山の神奈川県立近代美術館で開かれているベン・シャーン展へ。http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2011/benshahn/index.html
ベン・シャーンは、小学校の図工か中学校の美術の教科書に載っていた野球の絵を見て以来。子供心に変わった絵だと思っていた。
実際目にすると、あたたかいものが伝わってくる絵だった。何でもそうかもしれないけれど、教科書や図版では大切なところが失われていた。複製するとどうして消えてしまうのだろう。
メモ書きのような小さなスケッチやLPレコードのジャケットも展示されていて楽しかった。あのスケッチのどれか一つ欲しかったなぁ。
美術館からは海とその向こうに富士山も見える。風もなくいい陽気の中、久しぶりに波の音を聞いた。
昔、シャフランが来日公演でアヴェ・マリアを弾いた時、オクターヴの重音の指使いは人差指と小指だった、という伝説は聞いたことがあった。昨日他の調べ物をしていたらYouTubeでそのアヴェ・マリアを見つけた。
http://www.youtube.com/watch?v=rxGvKwiAeBU&feature=related
人差指と小指どころか、途中で指を入れ換えてフィンガード・オクターヴにしている。なんとまぁ。他の指使いもまるでヴァイオリンのようだ。
彼が桐朋で公開レッスンをした時学生に、後で私の書き込みをした楽譜を見て弓使いを参考にするといい、ただ指使いは参考にならないだろうけれど、と言ったことを思い出した。
僕は東京芸大の6ホールにシャフランのリサイタルを聴きにいった。白鳥の冒頭、ソ・ファ・シを小指・薬指・親指で弾き始めたのには、あんぐりと口を開けてしまった。その白鳥もYouTubeにあった。
http://www.youtube.com/watch?NR=1&v=7AaRT1o3sME&feature=endscreen
この白鳥は、ちょっとドヴォルザークの協奏曲のようではあるけれど、聴いた後、自分の演奏にはまるで感情がないかのように思えてしまう。今日白鳥をさらったことは言うまでもない。
シャフランはやはり英雄だ。
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