録音を聴いて、「空の拳」
昼間、都響は中学生向けの音楽教室。その後上野に集合し、夕方チェロアンサンブルのリハーサル。
ブランデンブルクの6番を録音して、先ほど聴いた。
同じメモリーカードに先日のJTチェロアンサンブルのゲネプロも録ってあり、まずそれを聴いた。
アンコールに弾いたフィドル・ファドルの中間部分、歌える人は弾きながら歌った。よく通る美声ということに関して山本祐之介さんの右に出る人はいない、ということで祐之介さんが冗談でそのパートをさらっていたら(すばらしく通る声で)、すかさず山本裕康さんが「音程よりもテンポをお願いします」と突っ込んで(歌は遅れやすい)皆が大笑いしている、その模様までばっちり入っていた。楽しかったなぁ。
その後聴いたブランデンブルクは、反省・・・。明日ゆっくりさらおう。
今日の日経夕刊、連載の終わった小説「空の拳」(すみません、読んでいませんでした)について、作者の角田光代さんの文章が載った。その中から
『連載中、幾度も後楽園ホールに足を運んだ。今までもボクシングの試合を生で見てきたけれど、その日に行われる全試合をこんなに集中して見たのははじめてのことである。そんなふうにして見ていると、デビュー戦もタイトルマッチも、どんな試合もおもしろかった。知っている選手でも知らない選手でも、試合を見ていて幾度か私は落涙した。この人たちはいったいなんのために打ったり打たれたりするんだろうと、見れば見るほど不思議だった。地位とか名誉とか、お金とか、世間一般で「成功」と見なされるわかりやすい何かを、その拳で勝ち取ろうとしている人なんていないように思えた。闘う人はほんとうに何も持っていないし、何も持とうとしていないように見えた。彼らが唯一持っているのは、今、負けたくない、勝たなくちゃいけない、というその気持ちだけなのではないか。記録に残る大きな試合も、すぐに忘れ去られてしまうだろう試合も、同様に美しかった。
・・・・・ 』
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