« 森 | トップページ | むし »

2012年9月18日 (火)

幸せで丸い

初めてイタリアに行った時、エスプレッソの美味しさに感激した。
もちろん現地でエスプレッソメーカーも買い、日本に帰ってからあの幸せで丸い味の再現に苦心した。

けれどしばらくして、その再現はあきらめてしまった。ガスコンロにかける僕の小さなエスプレッソメーカーでは、どだい、イタリアのバールに置いてある高圧の蒸気でコーヒーを抽出する機械にはかないっこないし、例えば日本の最上の蕎麦の材料をイタリアに持っていって作っても、きっとうまくないような気がする。
日本のものは日本で、イタリアのものはイタリアで食べればよい。もし美味しいパスタやジェラート、エスプレッソを味わいたければイタリアに行けばいい。それだけのことだ、と思っていた。

何年もそう思っていたのに、久しぶりにその小さな道具でエスプレッソを淹れてみたらびっくりするくらい美味しかった。どうしてだろう。
エスプレッソにはどっさり砂糖を入れて飲む。夕方になってくたびれてきた僕の頭もこれでまた元気になる。そうしたら再び楽譜の山と格闘できる。

夏前からわかっていて、それなりに準備はしていたのだけれど、今、ものすごい量(少なくとも僕としては)の譜読みを抱えている。
音符が体に入るには何日もかかるし、様々なリハーサルや演奏会のスケジュールが錯綜しているから上手に時間を使わなくてはならない。ゆっくりさらうことはもうできないので、自分のできていないことを的確につかんで、入り組んだ迷路を抜けていくスイッチを一つずつ入れていくしかない。

10月にはとても近い日程でチェロアンサンブルが二つあり、どちらもひどく音域が高い。10月末から弾くペンデレツキの無伴奏もぎょっとするほど音が高く、きついなりに5オクターヴ目のポジションに習熟できてよいのかもしれない。

今全体を見渡すとくらくらしそうなので、目の前のことに集中しよう。

« 森 | トップページ | むし »

音楽」カテゴリの記事

  • (2017.06.17)
  • (2017.04.24)
  • (2017.03.21)
  • (2017.02.27)
  • (2016.12.15)