さて、10月になってしまった。
少年老い易く
学成り難し
一寸の光陰
軽んずべからず
この詩は小学校卒業の時、意味も教えられず校長先生に暗誦させられた。いまとなって本当にありがたく思う。
くりくりの小学生は一瞬にして40歳を過ぎた。
昨日は仙台の電力ホールで白鳥やポッパーの小品、室内楽を弾いた。楽しかったなぁ。
このところ「巨人」だの「復活」だの、ぐわぐわがっしゃーん!という巨大音量の曲ばかりだったから、自分の音が細部まで聞こえる舞台は新鮮だった。
今日は、昨日のメンバーが二手に別れて、僕たちは南三陸町へ。
話しには聞いていた。地震から一年半たっても、海沿いの低地は建物の土台が残るばかりで、堤防や水門は破壊されたまま、瓦礫やくしゃくしゃに壊れた車が山積みになっている。
高台にある伊里前(いさとまえ)小学校は、津波が標高14メートルの校庭を越え、プールにまで到達したそうだ。現場を前に当時のことを聞いても、これだけの広さの土地をその高さまで埋める水が襲来したとは信じがたかった。そんな高さにまで海面が上がるとはどうしても信じられなかった。

小学校からは海岸がすぐ。水際まで降りてみると、破壊された堤防の断片が途切れ途切れに残り、その間は土嚢でふさいであるだけだった。驚いた、復興どころか。今の東京の街は何事もなかったように、再び私利私欲にまみれているというのに。

小学校でのアウトリーチは久しぶりだった。とても元気な子供たちだった。
下校時間になるとバスが何台も学校に横付けされる。9割の子供がバス通学だそうだ。校庭には仮設住宅が並び、バスが学校と家、仮設住宅を結び、校舎からは何もなくなってしまった海沿いの土地が見える。この記憶は10年、20年たったときに彼らの中にどのように残るのだろう。

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