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2012年11月19日 (月)

9月からずっと続いた忙しさは今日の本番で一区切り。風邪もひかず大きなトラブルもなく無事予定されていた演奏会で弾けたことを本当にうれしく思う。
演奏会が続いた中で得たことは多くアイデアもたくさんある。でもちょっと疲れがたまってしまった、今は少し休もう。

さらっていると、あぁこんなことも知らなかった、ということはよくある。何かに気付き今度こそゆるぎないものを掴んだ、と思うこともある。だから、2ヶ月もたつと自分はもう別人になったように感じる。それだけ進んだのならもっと素晴らしい演奏ができてもよさそうなものなのだけれど・・・。そんな時、ジャコメッティのことを思う。

矢内原伊作著「ジャコメッティ」から

『・・・毎日の仕事は、きょうこそは、という歓喜に似た大きな希望をもって始まり、絶望のすぐ近くまで行ってそこに長くとどまりながら、あすこそは、という苦い希望のうちに終わる。日が暮れて仕事が続けられなくなると、疲労に打ちのめされながらも彼は、「早くあしたになればよい。」そう言ってくやしがった。・・・』

『「いよいよ始まる」と彼は不意に大きな声を出した。「今までは本当の仕事が始まるための準備だったのだ。」しばらく描き続けたあとで、「こんなに遠くまで行く勇気が自分にあるとは今まで思わなかった、これほど自由に仕事ができるのは生まれてはじめてだ。・・・』

『すべり出しはたいてい調子よく行く。「二年前あるいは三年前にぶつかったような困難はもうない。今度は何らかの成果に達し得るだろう。」意気込んで彼はせっせと筆をはこぶ。「こんなに遠くまで進んだことはかつてなかった。三十年間試みて成功しなかったことが、今や成功の一歩手前まで来たのだ。」しかしたちまち困難がやってくる。「駄目だ、これは全く不可能だ。」ありとあらゆる悲観的な言葉をはき続けながら彼は真暗になるまで筆をおかない。「ああ」と彼は嘆く。「今日は確かに非常に進歩した。しかしさらに進歩するためには既に描いたものを全部こわして初めからやり直さなければならない。こわすか放棄するかどちらかだ。」こうして彼は苦労して描いた私の顔を塗りつぶしてしまう。真暗になってようやく筆をおく時、彼はきまってこんなふうに言った。「今日の状態は非常に悪い。しかし悲観してはいけない。明日の最初の十分間で何倍もよくなるだろうから」と。』

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