今日の都響は福島県いわき市の、午前は小学生、午後は中学生の前で演奏した。会場いっぱい2,000人の子供たちだ。基本的には都内での音楽教室と同じ内容で、1時間のプログラムの中には子供たちがオーケストラの伴奏で歌う「翼をください」もある。会場(いわき芸術文化交流館アリオス、ここは2年前の地震の時は避難所だった)の音響の良さは確かにあるとしても、子供たちの声が素晴らしかった。自分のパートを弾きながらぼうっとしてしまった。子供たちからも引率の先生たちからも何かあふれるものが強く伝わってきた。(客席と舞台の間には確かに行き来するものがある。例えば、演奏会の1曲目が難しいのは演奏者がかたくなっているだけでなく、聴衆も座ったばかりの客席になじめず緊張しているからだと思う。)
昨年暮れから取り組んでいる奏法の改善で、思いもかけず、これまでどうにも使いづらくて使えなかった弓が使えるようになった!(2010年1月30日の日記をご覧ください。http://ichirocello.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-219d.html)もちろん気に入って手に入れた弓なのだけれど、この2年くらいほとんど使っていなかった。今になってようやく、この弓の本当のところ、その良さをわかり始めたような気がする。
弓の持ち方、とは弓を持たないことだと思う。これは禅問答ではない。弓は弦の上で常に動いているのだから、つまりいつもバランスが崩れていてどこかに行こうとしているのだから、彫像のように止まった1点で保持する必要はなく、弦から落ちさえしなければいいし、それに弓ばかりでなく人間の体も自由に振動できた方がいい。
いわきからの帰り、常磐線の右手には沈む夕陽、左手には時々海が見えた。今度の休みは海に行けるだろうか。明日からもう3月、芦ノ湖の解禁だ。
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