演奏を仕事にしているからかえって、クラシック音楽は聴かない。ましてオーケストラは、というところはある。家でぼんやりしているときにはラジオからロックやポップス、ワールドミュージックが流れていたらうれしい。
それが先日新しいイヤホンをきっかけに古いCDプレーヤーであれこれ聴いてみたらおもしろく、久しぶりにチェリビダッケの録音を聴いている。今はミュンヘンフィルとのライヴ録音でブルックナーの8番。第3、4楽章だけで1時間を越えるから弾く方も、たぶん聴く方も、大変だったろうと思うけれど、その時間を感じさせない音楽の流れがある。なんだろう、これは。今こういう演奏はあるだろうか。
僕がまだ名古屋にいたとき、チェリビダッケ率いるミュンヘンフィルの名古屋公演があったし(プログラムは展覧会の絵だったと思う)、94年にミュンヘンのコンクールを受けに行った時、シーズン始めのチェリビダッケ&ミュンヘンフィルの演奏会を聴くことは可能だった。いずれの機会も逃してしまったことを今とても残念に思う。音楽にはその場で体験するしかないものが確かにある。
都響は昨日からガーシュイン&バーンスタインプログラムのリハーサル。開放的な音楽だし指揮者も明るいし(アンドリュー・リットン)、たまにはこんな演奏会もいい。
ラプソディー・イン・ブルーのソリストは山下洋輔さん。いつもと違う感じでおもしろい。山下さんが鍵盤に向かうと、まるで小さな男の子が夢中でピアノを弾いているようだ。
バーンスタインのシンフォニック・ダンス(ウェストサイド・ストーリー)にはフォルティシモで「Shout:Mam-bo」という指示がある。大きな声で「マンボ!」と叫べ、ということだ。リットンは僕たちに「今はいいけれど、本番では大きな声で叫んでほしい」と言った後、彼がイギリスのオーケストラでこの曲を取り上げた時、いかにもイギリス風の丁寧な発音で丁寧に叫ばれたことを再現して、それはすごくおもしろかった。要するに細かいことを気にせず大きな声で「マンボ!」、ということだ。さて明日はいったい。
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