何かを伝えるために
今日は通し稽古。ムーティは僕たちに何かを伝えたくて全てヴェルディのプログラムを組んだのだと思う。
ヴェルディの音楽が粗雑に、紋切り型で扱われていることに我慢がならない様子だ。ザルツブルクでモーツァルトのオペラを聴きに行くときは人々はまるで宗教的なものを求めているようなのに、とも言っていた。
確かに、よく演奏される「ナブッコ」の有名な合唱「行け、わが想いよ、黄金の翼にのって」は、新しい命を持ち、まるで別の、本当に別の、初めて聴く曲のようだ。この場に実際にいると、僕はヴェルディについて何も知らなかったのだとわかる。
時々ムーティは棒を振らずにうつむいて音楽の流れを聴いている時がある(振りやめているのにオーケストラが弾き続けるとカミナリの落ちる原因になるので、その見極めは難しいところではある)。その時、この人の胸には何が去来しているのだろう、と思う。
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