意識に上る前の
少しだけ海を見てから、東京都写真美術館で開かれている「須田一政 凪の片」展へ。
写真美術館では明日から「植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ」展も始まる。興味のある展覧会や映画を全部見ようとすると本当に忙しい。(ちょっと無理だなぁ)
http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-2015.html
もちろん展覧会に出かけてばかりいる訳ではなく、毎日さらっている。
強い音大きな音を出す時、高い音を出す時、難しいパッセージを弾く時、あわれな僕はいつも体に力を入れて弾いてきた。小さい時からずっとそう弾いてきたから、例えば楽譜にフォルティシモの記号が見えると、自動的に体に力が入る、そういう頭から体への回路が何十年もかけて強固に築かれてきた。
今その回路をなくそうとしている。一人でさらっている時に実現するのはさほど難しくない。人目のある場所で、大音量の下ですることの方が意味がある。オーケストラの仕事で忙しい今、そのとてもいい機会になっている。
チェロを弾く時に気をつけなくてはならないことは実に多い。音程もそうだし、弓の運び、姿勢、テンポ、リズム、ハーモニー、音楽の方向性・・・・、加えて室内楽やオーケストラの中で弾く時は、周りで何が起きていてその中で自分は何をしなくてはならないか、いつも意識を立てていなくてはならない。意識のかたまりだ。
今、意識ではなく、逆の本能的なものといったらいいのか、意識に上がる前の原始的な何かと、音を出すことを結びつけられないか、そういう試みをしている。このことができるようになったとして、それをオーケストラの中で弾いている時に使っていいのかどうかはわからない。でも一人で弾く時は、もちろんいいはずだ。
来年2月初めに横浜の小さな会場で無伴奏の演奏会がある。これまで何度も弾いてきたバッハやコダーイ、ヒンデミットの曲がまったく新しい輝きを持って見える。
昨日、注文していたテールピースが届いた。交換してもらうのは来週、本当に待ち遠しい。
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