2つの世界を
映画「ファッションを創る男 カール・ラガーフェルド」を観た。
http://www.alcine-terran.com/lagerfeld/
本屋やらカメラ屋やらあちこち歩き回り、ラーメンを食べた後に映画館に入ったら、眠くなってしまい、ところどころ記憶がないのが本当に残念・・・。
苛烈な人生を送ってきた人なのだろう、インタヴューに答える言葉が、直截でとても印象的だった。(インタヴュアーも直球を投げている)
『現実でありたくない 幻のように現れて消えたい』『自己演出をし過ぎた』『誰の人生の中にも存在したくない』・・・
万人受けする映画とは思えない、でも、もう一度観に行きたい。
チェーン・スモーカー、という言葉がある。僕は煙草を吸わないのでその気持ちはわからないのだけれど、友人に聞いたら、吸っていた時は常に煙草の残りを気にしていた、と言っていた。今、次に読む本を途切れないように用意しながら、切れ目なしに本を読み続けている。本がないと生きていくのが難しいかもしれない。
先日読んだのは椎名誠著「武装島田倉庫」。20年前に書かれたSFだ。椎名さんは、海辺で焚き火を囲み酒を飲み、というエッセイもおもしろいけれど、SFはまた独特の感触があっていい。
それから、村上龍著「心はあなたのもとに」。
雑誌「文學界」に連載されていた時に、断片的には読んでいた。いつか通して読んでみたいと思っていたところに、ちょうど文庫本が出版された。主人公の立場は、例えば経済状況ひとつを取っても一般的とは言い難い(嫌悪を覚える人もいるだろう)、でも書かれていることは、ざらりとした現実そのものに感じられることがあった。読んでいて夢見心地にはならない、しかし読まずにいられない魅力があった。
どなたかが村上春樹さんのことに触れた文章の中で(確か毎日新聞の書評)、小説家とは、人生であの時もしこの選択をせず、あの選択をしていたら、というあちら側の世界と、現実のこちら側を自由に行き来することのできる特殊な能力を持った人のこと、という旨のことを書いていた。なるほど、と思った。
今日、本屋で求めた「文藝春秋」12月号には、村上春樹さんの短編小説「ドライブ・マイ・カー」が掲載されている。そして、その少し後には村上龍さんの連載「オールド・テロリスト」も。
本を持たずに出かけることはほとんどない。どのカメラを持って出るか、と同じくらい僕にとって大切なことだ。
ヨドバシカメラで、発売されたばかりのニコンの新しいデジタル一眼レフを触った。
http://www.nikon-image.com/products/camera/slr/digital/df/
発表前の噂を聞いた時、どうしてニコンは懐古趣味でしかも高価なカメラをつくるんだろう、と半ばがっかりしたのだけれど、手にとったら欲しくなった・・・。お金がどこかから降ったり湧いたりしないだろうか。
夜は録音の仕事へ。単に生活の糧としてでなく、本当に仕事によって僕は生かされていると感じる。
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