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2013年12月 2日 (月)

あっという間に

シアターイメージフォーラムで開かれているポーランド映画祭2013、アンジェイ・ワイダ監督の「灰とダイヤモンド」へ。
http://www.polandfilmfes.com/
見終わって外に出ると、そこは現代の日本、しかも世界には色があって、くらくらしそうだった。

電車に飛び乗り、鎌倉へ。光明寺で猫に会ってから材木座海岸を歩いた。冬の夕方、材木座にはまともに海側から西日が差すのでまぶしい、でも低い光線はいつもより海を劇的に見せた。稲村ケ崎まで足を伸ばしたら、ちょうど日が沈むところだった。黄色かった太陽は、高度を下げるにつれオレンジから赤と素早く色を変え、いったん地平線にかかると、何かにひっぱられるようにあっという間に沈む。

20131202inamuragasaki

帰りの電車で開高健さんの「夏の闇」を読んでいたら、こんな部分があった。

『・・・こまかい汗にぐっしょり濡れたドライ・マーティニのグラスをとりあげると宝石のように充実した重さがあり、くちびるに冷えきった滴を一粒のせると、硬い粒のまわりにほのかな、爽快な苦みがただよっていて、粒のつめたさはいきいきしているが、芯まで暗く澄みきっている。淡くて華やかな黄昏はゆっくりとすぎていき、やがて夜が水のように道や、木や、灯や、人声からしみだして、大通りいっぱいにひろがっていき、いつとなく頭をこえ、日蔽いを浸し、窓を犯し、屋根を消して、優しい冷酷さで空にみちてしまうのだが、そうなるまえにほんのわずかのあいだ、澄明だが激しい赤と紫に輝く菫いろの充満するときがある。ほんの一瞬か、二瞬。気づいて凝視しにかかるともう消えている。きびしい、しらちゃけた、つらい一日はこのためにあったのかと思いたくなるような瞬間である。大通りいっぱいに輝く血がみなぎり、紙屑から彫像、破片から構造物、爪から胸、すべてを暗い光耀で浸して、ひめやかにたゆたう。・・・』

もうすぐチャイコフスキーのピアノ三重奏のリハーサルが始まる。そのトリオの演奏会が来年1月に大垣と3月には都内の小さな会場であり、そして無伴奏の演奏会が2月に横浜である。この数カ月つかみかけてきたことを実際に出せるのかどうか、本当に楽しみ。わくわくしている。
今この日記を書きながら、バルトークの2番のヴァイオリン協奏曲を聴いている。ちょっと前の僕だったら、眠る前にバルトークの協奏曲を聴くなんてどうかしている、と思っただろう。

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