チェリストの左手
今日は盛りだくさんだった。
少しさらってからギャラリー冬青へ。丹野清志 写真展「東京 1970-1990」
http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_exhibitions.html
好きな写真だった。小さかった頃の景色の記憶が呼び起こされるのだろうか。1970年(僕の生まれた年)頃の写真を見ると、東京でも広い空き地や未舗装に見える道があり、人々は小柄でずんぐりむっくりしている。この国は40年の間に激しい変化を遂げ、もう70年代は歴史になっているようだった。
それから銀座へ。そう、その前に、ちょっとだけ被っていたホコリを払って自転車に乗ったのだった。新しいブレーキは快適。昼間はぽかぽかあたたかく気持ちよかった。
銀座ライカギャラリーのルネ・ブリ展へ。
http://jp.leica-camera.com/culture/galleries/gallery_tokyo/
葉巻をくわえるチェ・ゲバラの有名な写真をはじめ、ポートレート、スナップ、風景、どれも実に見事だった。その中にチェロをかまえたパブロ・カザルスが左手の手のひらをレンズに向けたポートレートがあり、その左手と自分の左手をしげしげと見比べてしまった。カザルスの左手、人差指から小指に弦を押さえた痕がついているのだけれど、その場所がかなり奥、指の腹の深いところにある。うぅむ、こんな肉の多いところで押さえていたのだろうか。もう一度見に行きたい。
少し歩いてリコーイメージングスクエア銀座へ、写真展アンセル・アダムス。
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/community/squareginza/schedule/event_detail_09.html
精緻で明晰な写真は、もっと大きなプリントで見てみたかった。
さらに六本木のフジフィルムスクエアへ。発表されたばかりの新しいカメラを見るためだったのだけれど、そちらは僕には期待はずれ。でも開催中の写真展は素晴らしかった。ウィン・バロックの作品を見てから
http://fujifilmsquare.jp/detail/14010304.html
「日本の写真史を飾った写真家の「私の1枚」」。
http://fujifilmsquare.jp/detail/1401170123.html
それぞれの写真家に一枚ずつ、一度ならず見たことのある有名な写真もずらりと並び、すんなり通り過ぎることはできなかった。粒ぞろいで見応えがあった。
たくさんのフィルムで撮った写真を見て、フィルムは拡大した時、粒子が美しいことを思った。デジタルは拡大するとげじげじの四角形が現れるから解像度を上げて見えなくするしかない。フィルムの粒子が美しく見えるのは、大きさや形が不揃いだからだろうか。
その後タワーレコードへ足を伸ばした。店内でブラームスの二重協奏曲の映像が流れていて、しばらく立ち止まった。ラトル指揮のベルリン・フィル、チェロはモルク、2007年、安永さんがいらしたときのものだ。オーケストラもソリストも素晴らしかった。モルクの左手はタコの吸盤のように指板にすいつく。今日はチェリストの左手に着目する日だ。たくさんヒントをもらった。さぁ、夜はコダーイをさらおう。
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