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2014年4月27日 (日)

新聞、雑誌から

日経新聞夕刊、米文学者越川芳明さんの4月25日の連載から。

『キューバの黒人信仰で司祭が行うイファ占いは、格言の宝庫だ。
 256通りある運勢のひとつには、「人間の体にとって魂とは、空を飛ぶ鳥の羽根のようなものだ」という格言がついている。
 いくら体が丈夫でも、魂が傷ついていると生きていけない、という意味で、心の大切さを述べたものだ。』

今日4月27日の毎日新聞書評、最相葉月著「セラピスト」を評した池澤夏樹さんの文章がとても興味深かった。その中から。

『ぼくには心は小さな窓がいくつか開いた家のように見える。ブラックボックスで、中の仕掛けはわからない。入ってゆくものがあって出てくるものがあるだけ。窓から覗いても内部の狭い範囲しか見えない。
 人のことを言っているのではない。自分の心もそういうものとしか思えないのだ。
 ・・・・・・
 絵画や箱庭の治療に効果があるのはそれが物語を紡ぐことだからか、という問いに中井(久夫)はそこには無理があると答えて、「言語は因果関係からなかなか抜けないのですね」と言う。
 描かれた絵を心の物語の挿絵にしてしまってはいけない。村上春樹は河合隼雄と親しかった。彼の物語はあちこちに謎が残る。ひょっとして彼は物語を書きながら因果関係を抜けだそうとしたのではないか。『ねじまき鳥クロニクル』を大がかりな箱庭療法・絵画療法の成果と考えるとつじつまが合うのだが。』

雑誌「Number」852号はF1ドライバー、アイルトン・セナの特集。セナの広報担当を務めたベアトリス・アスンソンの「ゆったりとした時間を生きている人」という文章から。

『彼らしさがわかるのは、この言葉ではないでしょうか。
「僕にはアイドルのように憧れる人なんていない。僕が認めるのは、その人がやった仕事についてなんだ。いかに仕事に専念し、そして戦ったのか。それが一番重要だと思う」』

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