affettuoso
クララ・シューマンからブラームスへの1863年7月10日の手紙の中にこんな文章がある。
『・・・作品26のイ長調の四重奏曲には、キルヒナーも私も魅せられて、二度ばかり家でお客の折に演奏しました。二度ともルビンシュタインが聴いてくれましたよ。私にはまったく素晴らしい作品だと思われました。仰せのようにト短調より立派で、音楽的にも意味深く、第一楽章はずっと完成しております。』
ブラームスのピアノ四重奏曲は、手紙で言及されているト短調作品25とイ長調作品26、それからハ短調作品60がある。現在演奏される頻度は、おそらくト短調(わかりやすいし、後にシェーンベルクが管弦楽に編曲している)が多く、それからハ短調(第3楽章はチェロ・ソナタのように始まる。その上向きの分散和音を聴くといつも、第1番の交響曲、第2楽章の有名なヴァイオリン・ソロを連想してしまう)で、イ長調はあまり演奏されないような気がする。
CDの棚からイ長調の四重奏を出してきて聴いたら、いい曲だ。楽譜は見たことがないけれど、冒頭にはaffettuosoという楽語がぴったりする気がした。
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