「ダブリンの時計職人」
映画「ダブリンの時計職人」(原題Parked)へ。
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青やグレーを基調とした画面の映画にすっかり入り込んでしまい、見終わって映画館の外、春の日射しがまぶしい街に出てもなかなか現実に戻れなかった。甘さはなく、いい映画だった。
映画の世界から現実に戻っていく時、雑誌「MONKEY Vol.2 SPRING 2014」に掲載されている村上春樹さんの小説「シェエラザード」の一節を思い出した。
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『・・・ どんな種類の話であれ、彼女が話すとそれは特別な物語になった。口調や、間の取り方や、話の進め方、すべてが完璧だった。彼女は聴き手に興味を抱かせ、意地悪くじらせ、考えさせ推測させ、そのあとで聴き手の求めるものを的確に与えた。その心憎いまでの技巧は、たとえ一時的であるにせよ、聴き手にまわりの現実を忘れさせてくれた。頭にこびりついているいやな記憶の断片を、あるいは思い出したくない心配事を、濡れた雑巾で黒版を拭うようにきれいに消し去ってくれた。・・・』
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