生きていくための
たとえば翌日に控えた仕事の譜読みを夜も更けてからごそごそするのは、どちらかと言うと、あまり楽しくはない。でも、しばらく先に弾く曲をあれこれ思って試しながらさらうのは本当に楽しい。生きていくための大切なエネルギーになる。それは少し前まではアルペジョーネ・ソナタだった。今は、秋の終わりに弾かせてもらうドヴォルザークを大事に大事にさらっている。
昨日は少しさらってから映画のはしごをした。
「人生はマラソンだ」を観てから
http://www.zaziefilms.com/marathon/
「チョコレート・ドーナッツ(原題Any Day Now)」へ。
http://bitters.co.jp/choco/
「人生はマラソンだ」を、調子のいいおじさんたちの予定調和的な映画だろう、と出かけたら、思いのほか真正面でずしりとした重さがあった。良い意味で参ってしまった。「チョコレート・ドーナツ」も、みぞおちにどしんとくるような負の部分をしっかりと見すえていて、もしかしてそういった部分は日本人が表現しようとすると、ほのめかすだけか、あるいは触れることもないかもしれない、と思った。
ブルックナーやマーラーの交響曲を弾くと、どうしてこの人たちはこんなにグロテスクなものを書くのか、と思うことがある。ブリテンの戦争レクイエムやオペラ、バルトークの「青ひげ公の城」も、どうしてその主題をそこまで、と思うことがある。それが結局彼らの表現の強さにつながっているのだろうか。
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