「こわい絵本」
先日、のこのこ新宿伊勢丹に出かけた。「ウォッチコレクターズウィーク」が開かれていて、トゥールビヨンという機構を見たかったから。とうてい手の届くようなものではないし、たとえ世界一のトゥールビヨンでも正確さでは電波時計に及ばない。でもその動くさまを見ていると小さな宇宙のようで、夢がある。
そうそう伊勢丹に行く訳ではないので物珍しく店内をぶらぶらしていたら、オーディオの小さなスペースがあった。足を止めて96khz、24ビット(だったかな)の音源を聴かせてもらった。家にもあるキース・ジャレットのソロ・アルバムは、響きの情報量が多くて驚いた。ちょっときれい過ぎる気もするけれど。近い将来CDはなくなり、音楽はMP3のような圧縮音源と、ハイエンドの情報量の多い音源と、アナログ・レコードとして残っていくのだろうか。
読みかけの本や雑誌がたくさんあっても、本屋に入ると何か見つけてしまう。雑誌「Monkey vol.3」の特集は「こわい絵本」。
http://www.switch-store.net/SHOP/MO0003.html
色のある美しい絵がたくさん入っている本は楽しい。メルヴィルの「白鯨」にマット・キッシュが絵を付けたものが、意表をついておもしろい。こういう感じに「白鯨」をとらえる人がいるんだなぁ。
巻末には村上春樹さんの連載が。「オリジナリティーについて」という文章から。
『・・・・・あらゆる表現作業の根幹には、常に豊かで自発的な喜びがなくてはなりません。オリジナリティーとはとりもなおさず、そのような自由な心持ちを、その制約を持たない喜びを、多くの人にできるだけ生のまま伝えたいという自然な欲求、衝動のもたらす結果的なかたちに他ならないのです。
そして純粋に内的な衝動というものは、それ自体のフォームやスタイルを、自然に自発的に身につけて出てくるものだということになるかもしれません。それは人為的に作り出されるものではありません。頭の切れる人がいくら知恵をしぼっても、図式を使っても、なかなかうまくこしらえられるものではないし、たとえこしらえられたとしても、おそらく長続きしないはずです。・・・・・』
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