誰かから
今日は誰かから恵んでもらったような日だった。
釣りへ。釣りと言っても、奥多摩川の本流を区切った大きな釣り堀のようなところへ。早起きして芦ノ湖に行くほどはがんばらず、昼前に奥多摩へ。がんばらない釣りも悪くない。川沿いの遊歩道を歩くとバッタがきちきちと鳴いて先導してくれ、空にはもうアキアカネが飛んでいる。
今日のヒットルアーはスピナー。水の中を引いてくると金属の羽根がくるくる回るやつだ。長野の梓川でもいい思いをした。どうしてこれで魚が釣れるのかは釣りの七不思議のひとつ、と僕は思う。ちょっと暑かったけれど、思ったよりニジマスが上がったし、そのスピナーの倍くらいの大きさしかないウグイも釣れた。もちろんすぐ逃がしてあげた。
帰りの電車では、短い時間底が抜けたように眠った。作家の開高健さんが釣りに夢中になった気持ちがわかるような気がした。あちらはアラスカやアマゾン、こちらは多摩川、あちらはキングサーモン、こちらは小さなニジマス(ウグイ)という違いはある。しかし今、その違いはちっとも本質的な問題ではない。
時々釣りに出かけよう。