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2015年1月

2015年1月30日 (金)

初めて出会う人のように

CDプレーヤーが戻ってきていろいろなCDを聴きなおした。そんな中で本当に久しぶりにベートーヴェンを聴いている。(最近クラシックをあまり聴かなくなっていたもの) 職業音楽家としてこんなことを言うのは恥ずかしいのだけれど、ベートーヴェンとはどんな音楽ですか?と尋ねられたら、僕としては何とも答えようがない。いったいどんな音楽だろう?曲ごとに見事に異なり、つかもうとしても逃げていく。

ピアノソナタを聴いている。ヴァイオリンソナタは初期に寄り過ぎているし、チェロソナタは5曲しかない、そして交響曲は仕事に密着し過ぎだ。初期から中期、後期まで聴くなら弦楽四重奏かピアノ作品だと思う。
一人の作曲家としては最も多くのCDを持っている、でも初めて出会う人のように聴いている。こうしてたくさん聴いて、何かがわかるようなことはないかもしれない。ただ、あなたはまことに偉大でありました、と僕は頭を下げるばかりだ。

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先日放送されたNHKBSの番組「世界入りにくい居酒屋」はリヨン。 http://www.nhk.or.jp/nikui/12_lyon/index.html
実に楽しかった。食事を準備し提供すること、それを食べること、これ以上に大切なことはあるだろうか。

2月1日横浜イギリス館での公演、まだ席に余裕があるそうです。よろしければどうぞいらして下さい。バッハの無伴奏から少しと、フォーレ、ドビュッシーなども劇中で、断片的ですが、弾きます。
http://ichirocello.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/21-0f7e.html

2015年1月26日 (月)

先日やっと行けたのがギャラリー冬青で開かれている渡部さとる写真展「prana」。http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_1501_satoruWatanabe.html
写っているものはありふれたものなのに、確かに渡部さんには何か他のものが見えている気がした。写真はおもしろい。

思いのほか早く、CDプレーヤーが修理から戻ってきた。修理票には「読み取り用レーザーピックアップ劣化のため、ドライブメカニズムごとの交換を行いました」とある。なるほど。音もちょっとよくなった気がする。久しぶりにあれこれCDを聴いてみた。やはりうれしい。

2015ebisu

雑誌「図書」1月号に村田吉弘さんと巽好幸さんの対談「美味しいの、なんでやろ?」が掲載された。その中から。(つまり、外国に日本の蕎麦を持って行ってゆでても何だか違うものになる、ということだろうか?)

村田   海外でイベントをするときは、必ずボルヴィックを使います。イタリアの水でパスタを湯がいたら、エエ加減な湯がき方してても、真ん中にタンパク質が寄ってアルデンテになりよる。

巽     グルテンがパスタの中心に寄ってくれるんですよ。

村田   そうそう。そやから、リゾットも日本の水で現地の料理人につくらせたらお粥になりますよ、絶対に。料理というのは、水に従わんとできないんです。

巽     そうですね。

村田   日本のイタリア料理の連中に「なんで、石灰入れへんねン」て言うてるんですよ。ぬめりも何もなくて、ピーンとしますねんけどね。ソースに使うとか、野菜を湯がくとかいうのにもいい。ほうれん草を日本の水で湯がくと水がグリーンになりますでしょう。フランスでほうれん草を湯がいてもグリーンにならない。色素も何も出ていかないんでしょうね。野菜のうまさが野菜の中に閉じこもったまま、自らの水分で煮えるようなもんやから、味が濃くておいしぃなンねんやろね。そのもの自体は日本の野菜のほうが絶対にうまいですよ。

巽     だから日本はなんで軟水やっちゅうのを知ってほしかったんです。

村田   本(巽好幸著「和食はなぜ美味しい」)の最初に出てくるグラフ、あれ面白いですね。関西と関東で水の差があんなにあるなんて。そやから、関東のほうはおおかた、コブ(昆布)は頼りにしとらんね。

巽     マクつくってしまってあきません。

村田   コブぜんぜんアテにしてはらへんさかいに、関東のほうは蕎麦屋の出汁なんて靴べらみたいなカツオをグラグラ、グラグラ炊くだけ。イノシン酸ってそんなにたくさん抽出できてへんのですけどね。醤油がグルタミン酸やから、なんとなく香りがカツオの香りになって、イノシン酸で相乗起こるいうても、ちょっとだけのイノシン酸やろと思うんやけどね。

2015年1月24日 (土)

共感する

先日放送されたNHKの「プロフェッショナル」はかけつぎ職人の松本孝夫さん。http://www.nhk.or.jp/professional/2015/0119/index.html
笑顔で仕事に臨む様子がとても印象的だった。仕事の仕方、姿勢など、こうありたいと思った。
その前週に放送されたマツダのエンジニア、人見光夫さんも格好よかったなぁ。http://www.nhk.or.jp/professional/2015/0112/index.html

コダック社のフィルムが再び値上げだそうだ。昨年のモノクロフィルム大幅価格改定には驚いたけれど、今度はカラー。やれやれ。http://www.nationalphoto.co.jp/1F/kodak_news_06.htm

2014yotsuya

昨日の都響定期演奏会のソリストはピーター・ウィスペルウェイでルトスワフスキのチェロ協奏曲。彼のCDは何枚も持っていて、期待してリサイタルに足を運ぶと、?、ということが続いた。
ルトスワフスキは素晴らしかった。間近で弾き方を見てなるほど、ということがたくさんあり、リハーサルが終わった後、そのことを忘れないうちにすぐさらった。

今回の指揮者はハンヌ・リントゥ。都響に来るのは3度目だと思う。前からそう感じていたけれど、居心地が良かった。(指揮者とオーケストラは必ずしも仲良しである必要はないし、時として緊張関係から良い演奏が生まれることもある。まぁそれでも快適に仕事をしたいと僕は思う)  長身と、そのいかつい風貌に反して、実にお茶目。3日間のリハーサル中、そうなんだよね、と共感することはいくつもあった。本番は上着の袖が破れてしまうほどの熱演。力みは無く、オーケストラが自然によく鳴る感じが好きだった。
また来てほしい。

2015年1月18日 (日)

2月1日に


2月1日に朗読劇にチェロで音楽をつける、という公演があり、昨日その最初の稽古があった。おおよその形はできていて、そこにどのように入っていくか、という時間だったと思う。
演劇の人たちの空間や時間は僕たちのものとは異なっていて、一緒に仕事をさせてもらう度にいつも新鮮だ。

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演目は「星の王子さま」、出演は今井美佐穂さん、大窪晶さん、中村真季子さん、中積由江さん。13時開演と15時半の2回公演で、会場は横浜のイギリス館です。お問い合わせは
横浜市イギリス館  045-623-7812
までお願いします。

2015年1月16日 (金)

のびやかで自由で

サントリー美術館で開かれている「天才陶工 仁阿弥道八」展へ。http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2014_6/index.html
のびやかで自由で実に楽しかった。もちろん、猿やうさぎなどの動物も良かったけれど、黒の楽茶碗に見とれてしまった。しみじみ、そういう年になった、ということか。
それから渋谷のギャラリールデコへ。中藤毅彦写真展「STREET RAMBLER」http://ledeco.main.jp/?p=12004

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先日出かけた写真展はTheWhiteのタカザワケンジ「CARDBOARD CITY」展  http://www.the-white-jp.com/exhibition/20150106_takazawa.html
と、フォトギャラリーインターナショナルで開かれている八木清作品展 「Silat Naalagaq〜世界に耳を澄ます」http://www.pgi.ac/content/view/429/1/lang,ja/
どちらの展示も、今の日本からいろいろな意味で遠く離れたところを撮ったものだった。

旅か、いいなぁ。

2015年1月11日 (日)

期待通りの

CDプレーヤーを修理に出してから、LPレコードのシステムを聴かせてもらった。「SOMETHIN' ELSE」というアルバム(僕はCDで持っている)からは、音が出る直前の息づかいまで聴こえてくるようで、期待通り予想通りの素晴らしさだった。高嶺の花のLP12というプレーヤー、いつかと思った。

それからソニーイメージングギャラリー銀座のサンジット・ダス作品展「The Mighty River ~生命の川」へ。http://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/150109/
写っている人たちの、そしてそれを撮影するサンジット・ダス本人の真摯なまなざしに、思わず見入った。
ギャラリーからソニーのショールームに降りてきたら、興味深い動画が上映されていた。鳥になると世界はこう見えるのだろうか。https://www.youtube.com/watch?v=QwNc0SFIp-o

さらに新宿コニカミノルタギャラリーで開かれているアート・ウルフ写真展「EARTH IS MY WITNESS」まで足を伸ばした。http://www.konicaminolta.jp/plaza/schedule/2015january/artwolfe/index.html

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毎日新聞日曜版連載、藤原帰一さんの「映画愛」、1月11日の文章から。

『とはいえ、映画に発見を求めるのは邪道なのかも知れません。2時間ほどを幸せに過ごしたい時、既製観念を塗り替えるイメージなんて煩わしいではないか。実際、・・・・・などのアカデミー賞受賞作品を並べても、新しい表現はどこにもない。「オリバー・ツイスト」の舞台をインドに変えたり、王様を吃音にしたり、映画から台詞を取り除くなんて工夫はあっても、基本はごく古風なドラマです。その保守性があればこそアカデミー賞を受賞したんでしょう。
 それに文句はありません。文学だって芥川賞より本屋大賞が注目を集める時代、映画にアートを求めるのは時代錯誤なのかも知れない。でも、それだけではちょっと寂しい。やはり新しい表現を見たいからです。』

『予定調和を排して安眠を奪うのがアートの特徴でしょう。「6才のボクが、大人になるまで。」が今年のアカデミー賞有力候補とされるのも絶対安全地帯の映画に食傷したアメリカを反映しているように思います。時代錯誤かも知れませんが、これからも眠らせてくれない映画を探していくことにいたしましょう。』

2015年1月10日 (土)

怪しい気配は

昨年暮れから怪しい気配はあった。8年使っているCDプレーヤーがとうとうおかしくなった。CDの読み込みに時間がかかるし、そもそも読んでくれないこともしばしばだし、異音がしたり、音飛びしたり。やれやれ。考えた結果修理に出すことにした。普段それほど聴くわけではないけれど、ないとなるとさみしくなる。

寒さでまん丸になった猫を見たくなった。時間をみつけて江ノ島に行こう。

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2015年1月 7日 (水)

少し遅れて

新年の仕事を終えてから帰省。正月が少し遅れてやってきた。家族や懐かしい人たちに会い、たくさん話をし、母が小さい子たちをレッスンするのも見学した。昨日は名古屋駅近くをぶらぶら。古い町並みの保存地区もあり、楽しかった。

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昼の新幹線で帰京。年末に撮ったフィルムの現像をラボテイクで受け取った。このところずっと50ミリレンズでばかり撮っていたのだけれど、ふと久しぶりに28ミリを付けてみたら、そのおもしろいこと。世界を包みこんでしまうような28ミリの明るい外付けファインダーにいちいち心動かされている。ビオゴンという名前のレンズはいつの間にか絞り羽根がちょっとだけ不調になり、グリスも切れかかっているけれど、その写りは驚くほど、目が覚めるようだ。

さて、明日から仕事。

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