水
先日やっと行けたのがギャラリー冬青で開かれている渡部さとる写真展「prana」。http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_1501_satoruWatanabe.html
写っているものはありふれたものなのに、確かに渡部さんには何か他のものが見えている気がした。写真はおもしろい。
思いのほか早く、CDプレーヤーが修理から戻ってきた。修理票には「読み取り用レーザーピックアップ劣化のため、ドライブメカニズムごとの交換を行いました」とある。なるほど。音もちょっとよくなった気がする。久しぶりにあれこれCDを聴いてみた。やはりうれしい。
雑誌「図書」1月号に村田吉弘さんと巽好幸さんの対談「美味しいの、なんでやろ?」が掲載された。その中から。(つまり、外国に日本の蕎麦を持って行ってゆでても何だか違うものになる、ということだろうか?)
村田 海外でイベントをするときは、必ずボルヴィックを使います。イタリアの水でパスタを湯がいたら、エエ加減な湯がき方してても、真ん中にタンパク質が寄ってアルデンテになりよる。
巽 グルテンがパスタの中心に寄ってくれるんですよ。
村田 そうそう。そやから、リゾットも日本の水で現地の料理人につくらせたらお粥になりますよ、絶対に。料理というのは、水に従わんとできないんです。
巽 そうですね。
村田 日本のイタリア料理の連中に「なんで、石灰入れへんねン」て言うてるんですよ。ぬめりも何もなくて、ピーンとしますねんけどね。ソースに使うとか、野菜を湯がくとかいうのにもいい。ほうれん草を日本の水で湯がくと水がグリーンになりますでしょう。フランスでほうれん草を湯がいてもグリーンにならない。色素も何も出ていかないんでしょうね。野菜のうまさが野菜の中に閉じこもったまま、自らの水分で煮えるようなもんやから、味が濃くておいしぃなンねんやろね。そのもの自体は日本の野菜のほうが絶対にうまいですよ。
巽 だから日本はなんで軟水やっちゅうのを知ってほしかったんです。
村田 本(巽好幸著「和食はなぜ美味しい」)の最初に出てくるグラフ、あれ面白いですね。関西と関東で水の差があんなにあるなんて。そやから、関東のほうはおおかた、コブ(昆布)は頼りにしとらんね。
巽 マクつくってしまってあきません。
村田 コブぜんぜんアテにしてはらへんさかいに、関東のほうは蕎麦屋の出汁なんて靴べらみたいなカツオをグラグラ、グラグラ炊くだけ。イノシン酸ってそんなにたくさん抽出できてへんのですけどね。醤油がグルタミン酸やから、なんとなく香りがカツオの香りになって、イノシン酸で相乗起こるいうても、ちょっとだけのイノシン酸やろと思うんやけどね。
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