「常に新鮮で」
日経夕刊の連載「あすへの話題」、6月4日に掲載されたピアニスト舘野泉さんの文章から。
「でも、私は毎日ラヴェルが弾けて本当に嬉しかった。楽しかった。大変な重力もかかるが、一方で思いきり楽しんで口笛を吹くような楽想もある。身も心もいっぱいに開きはなち、踊りだしたいような曲想もある。その後で音楽は再び気を引き締めて立ち向かわなければならない強靭そのものという姿を見せ、体操の世界チャンピオン級の物凄い技も見せるが、それは楽しく楽でなければ出来ないこと。歯を食いしばってやるものではないのだ。つまり、それが特別な次元でなく、日常生きて毎日繰り返されることで、しかも毎日新しく生まれることでなければならない。一日一日が常に新鮮で蘇っていなければ、誰が人の演奏に付き合ってくれるだろう。」
« 新緑 | トップページ | 「新鮮で輝かしく」 »
「音楽」カテゴリの記事
- ショスタコーヴィチの8番(2024.12.30)
- シェーンベルク、長三和音、短三和音(2024.12.15)
- 音楽のたたずまい(2024.11.11)
- 人懐こい猫がいたら(2024.09.20)
- 5月18日のプログラムノート(2024.05.17)