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2015年8月26日 (水)

パン粉

ハイドンの「熊」とマーラーの5番は、今日までの丁寧に時間をかけたリハーサルで一巡りした。

昨日マーラーの第3楽章の練習をしていた時のこと。ヴァイオリンがD線でGの音を伸ばし、フラットが2つになる二重線のところでその音をG線にグリッサンドをかけて取り直すと美しい旋律が始まる(楽器の構造と特性を憎いまでによくわかって書いてあると思う)。その旋律を練習しながらファビオ・ルイージは
"Enjoy!Enjoy!"、"Take your time!"と言った。
弾きながら次の音や次のフレーズに気をとられるのではなく、今弾いているその音を充分に感じて、ということだろうか。そう弾いたらあなたたちの演奏に自分がついていくから、とも言っていた。
僕だけではないと思う、おそらく多くの人にとって、楽器を弾くことは易しくなく、だから出している音に聴き入るどころか、追われるように弾くようになっているのかもしれないと思った。あれこれ考えず、今弾いているその音を充分に感じ、ともにいること。今の僕に大きく足りないことの一つと気付かされた。
彼と弾いていて心地いいのは、演奏者に強いて何かをさせないからだと思う。音楽が自発的に生まれてくるようにしているように見える。

そして第2楽章の終わり、チェロとコントラバスが旋律を受け持っているところでヴァイオリンは細かい3連符を弾く。その質感を説明するのに「パン粉」ということを指揮者は言いたかった。かなり語学の堪能な人だと思うけれど、その時は咄嗟に英語が出てこず、アメリカから来ているホルンのジュリアに、「ジュリア、ほらパンじゃなくて、細かくしたあれは何と言うんだろう?」というようなことを尋ねた。ジュリアが答えて(近くの誰かがそう教えたのだと思う)、「パンコ!」と言ったのには皆で笑った。金管の人たちはユーモアのセンスも抜群だ。

英語ではパン粉を"bread crumbs"と言うそうです。

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