11月13日ストックホルム。
朝起きたらカーテンを開けて外を見る。今日も暗くてがっかり。午前中ゲネプロ。東京でのリハーサルから時間がたっているのでちょっと落ち着かない感じだ。今日の会場は舞台も客席も幅広で奥行きがあまりない。音は、木管楽器が遠い気がするけれど、客席で聞くとそうでもないようだ。
夜、本番。ストックホルムのにこやかな笑顔の聴衆の前で弾けるのは幸せだった。朝の重たい気持ちと体が嘘のようだった。指揮の大野さんも生き生きと表情豊かだった。
終演後ホテルの部屋に戻ってから、パリでの事件を知った。
11月14日空路アムステルダムへ。
空港に向かう車窓からストックホルムを見ていると、そこここに巨大な岩盤が露出しているのがわかる。この都市をつくっていく上できっと大きな問題だっただろうし、その過程でノーベルの発明したダイナマイトが使われたのだろうか、とぼんやり考えた。
飛行機の高度が上がると、陽の光が射してきた。ストックホルムで太陽を見ることはなかった。冬晴れの東京は、実は大変なところではないかと思う。
真冬のアムステルダムには来たことがある。しかもその時寒波が到来していて、運河が全面結氷した年にだけ開催されるというスケートの長距離レースが行われていた。100キロだか200キロだか、壮大な距離を、運河をつないだコースで滑る。選手たちの鼻からはつららが下がっていた。オランダ人たちは熱狂的にテレビを視ていて、これに優勝すると国民的英雄になれる、と聞いた。
さて、今日のアムステルダムはそれほど寒くない。街の感じは明るく、スーパーマーケットに行って、驚くような物価のストックホルムからみると、ごくまっとうな値段がついていることにほっとした。
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