「あたゝかに」
少し前の毎日新聞書評で紹介されていたのが「鬼貫句選・独ごと」。岩波文庫の表紙には『上嶋鬼貫は、「東の芭蕉、西の鬼貫」と並び称された元禄期の俳人』とある。知らなかった。そして2010年発行の本書も品切れのようだ。(最近僕が読もうとする本はことごとく・・・) その中から
「あたゝかに冬の日なたの寒き哉」
「柳は花よりもなを風情に花あり。水にひかれ、風にしたがひて、しかも音なく、夏は笠なふして休らふ人を覆ひ、秋は一葉の水にうかみて風にあゆみ、冬はしぐれにおもしろく、雪にながめ深し。」
先日街を歩いていた時のこと。とても背の高い人がいて、しかもこちらを見ている、と思ったら、新日フィルのチェリスト、スティーブン・フィナティさんだった。オーケストラを移って以来、ほとんど10年ぶりの再会だった。
また大きくなったんじゃないの、と冗談を言ってから、ものすごい勢いで様々なことを話した。あの頃の僕たちのお気に入りの冗談を忘れていないことももちろん確認した。奇妙なことに、僕が新日フィルにいた3年に満たない期間で、彼とだけ同じプルトに座ることがなかった。
61歳のフィナティさんが変わらず音楽と素晴らしい関係を持っていることがとても嬉しく、そして何より励まされた。
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