「パルムの僧院」
先月の演奏旅行には、ずいぶん考えた末、持っていく文庫を6冊選んだ。2週間それで足りるか、というのは杞憂で、結局スタンダール著「パルムの僧院」(上下巻)を読み終える前に帰国してしまった。他の本を開く時間はなかった。
「パルムの僧院」は本棚に長く眠っていた。どうにもとっつきにくかった。読み始めても、いったい今読んでいることが全体の何なのかつかみづらい。でも一旦物語の中にはいってしまうと、生き生きと力強く、見事だった。こんな話が書けるなんてすごいなぁ。
僕はノンフィクションを読むことが多い。それは「事実は小説より奇なり」という言葉通り、人智を越えたことはたくさんあるし、そうした人が考えたことではない何かを知りたいと、強く思うからだ。
でも「パルムの僧院」を読んでいる時、物語というものにずいぶん救われる気がした。フィクションの素晴らしい世界を堪能した。次の機会には是非「赤と黒」を読もう。