弦を伸ばす 2
弦をあらかじめ伸ばしておいてから楽器に張る、というアイデアを父に話したら、さらに、新品の弦をいきなり所定の音程まで上げるのではなく、ゆっくり時間をかけて伸ばしてはどうか、という考えが出てきた。
(シンバルを製作する際、ほぼ出来上がった状態で一年寝かせる、ということを聞いたことがある。寝かせたものとできたてのものを比べると、明らかに音の伸びが違った。金属の中でいろいろなことが起きるらしい。)
ガットだけでなく、金属あるいはナイロン等でできている弦でも、最初から要求される音程に上げるのと、ゆっくり上げていくのとでは音質に違いが出てくるかもしれない。例えば張りたてのガットのもぞもぞした感じは言うまでもなく、ヤーガーの少しこもった感じ、新品のスピロコア特有のしゃりしゃりした感じが違うものになるかもしれない。
もう一つ、チェロの新品の弦は紙の包装のなかにくるくる丸めて、時には端をからめて入っている。もしかして使うしばらく前にこの状態を解いて、だらりとさせておいたら何か違うことはないだろうか。少なくともねじれは無い方がいい気がする。
そう思うとじっとしていられなくなって、使えそうな材料を探しに出かけたり、スケッチを書いて重野さんに助言を求めたりした。
いろいろな方法が考えられる。何も決まっていないし、自分で選んでいけばいい。弦にどうやって張力をかけようか。適当なウォームギヤを組み合わせる(弦を掛ける部分をどう作ったらよいだろう?)、あるいはコントラバスやギターの糸巻きを流用する(コントラバスのものは大がかりだし、ギターのは軸が細い気がする)こともできそうだ。 (続く)
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