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2016年2月 7日 (日)

twill by twilight

少し前の録音をよく聴いている。チェリビダッケ指揮のミュンヘン・フィル、バーンスタイン指揮のウィーン・フィルあるいはニューヨーク・フィル、そしてジョージ・セルとクリーヴランド管弦楽団。
中学生の時、レコード店でずいぶん時間をかけて探して買ったレコードの一つがセルとクリーヴランド管弦楽団のブラームスの交響曲第2番だった。初めて聴いたブラームスの交響曲がこの演奏で、正直なところ、よくわからなかった。今改めて聴いて本当に素晴らしいと思う。
交響曲以上に好きなのが、オイストラフが両者とともに録音したブラームスの協奏曲。オイストラフのヴァイオリンは言うにおよばず、オーケストラの演奏も一段と素晴らしい。例えば和音をつくる時のヴィオラやチェロの音色のはまり具合が見事で、それしかない、と思えてくる。音楽家の層の分厚さを感じる。この演奏のライナーノーツにはフリッツ・クライスラー、85歳の時のインタビューが引用されている。

「オイストラフは、すべてのヴァイオリニストの中で、もっとも大切なものをもっている。それは、彼がゆるやかに演奏することだ。このすべてがスピード時代に生きているわれわれにとって、これは非常に稀であり、かつ貴重なことだ」

仰ぎ見るような巨人たちがいた時代、演奏にじかに接したらどんなだっただろう、といつも思う。セル&クリーヴランドに限らず、録音からきこえてくる音楽の大きくゆるぎのない流れを、今の僕たち演奏する者は持っているだろうか。

先月末、都響にはアラン・ギルバートが来て二つのプログラムを指揮した。
あぁやっぱりオーケストラの素晴らしさはこういうところだな、と幾度も思える時間は嬉しかったし、我々に足りないところも端的に示してくれたと思う。
二つ目のプログラムのメインはベートーヴェンの7番。大きい声で言えることではないけれど、新鮮な気持ちを持って弾く難しさでは第九とこの7番は並ぶ。弾く回数が多いのだと思う。でもアランと弾いた7番は伸び伸びとして楽しかった。
その前のプログラムのメインはアラン・ギルバート編のワーグナー、「ニーベルングの指輪」ハイライト。50分以上かかるのだけれど、二公演ともあっという間に最後のページにいた。
プログラムの最初は武満徹さんの「トゥイル・バイ・トワイライト」。曲名の由来は武満さんが辞書を開いた時、トワイライトという単語の隣にトゥイルという言葉があったから (twill by twilight)。「これ本当の話」とアランが言っていた。

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